19-3 もう一つの救出グループ
「とにかく、このままじゃ引き下がれない。納得いく理由を聞かせてもらうまで、行動を共にさせてもらうぞ」
「しつこい人は嫌われるわよ」
「ねばり勝ちってのもある」
「何それ」
「納得いかないことは、わかるまで追及する性格なんでね」
「その性格、直したほうがいいわよ」
「言われなくとも、ちゃんとセーブしてる」
「じゃあ、なんで今回はしつこいのよ」
「納得いかないからだよ。俺のどこがいけないのか知りたい」
「そのしつこさだったりして」
「なんと言われようと、納得いく理由を聞かせてもらうまでくっ付いてるからな」
「任務の邪魔をされると困るわ」
「邪魔なんかしないさ」
「現に、こうやって邪魔してるじゃないの」
「今回の事、邪魔したか?」
「こうやって、しつこく追い回してるじゃないの」
「それは、そっちが納得いかないことを言うからだろう? 納得すれば諦める」
するとキラは姿勢を正し「残念ながら、当グループの規定により、あなたの加入は認められません。ご了承ください」きちんと言い直すと「規定って?」と聞き返してくる。
「何度も同じこと言わせないでよ!」
「まったく納得いかない」
「……勝手にしなさい!」
捨て台詞を残して席を立つとラウンジから出ていくので、ショウは後から出ると、エレベーター待ちをしている彼女の隣に立つ。
「PFSの仕事を放りだして、こんな所で油売ってていいの?」キラが前を向いたまま聞くと「辞めたよ。今朝、今回の報告と一緒に辞表を送った」
「辞めた?」ショウを見ると「そう」と答える。
「そうって、なんで! 友達の敵を討つために入ったんでしょう? それをやめるの?」
「やめないよ。キラのいるグループへ入れてもらおうと思ってるから」
「だから、あんたは入れないんだって」
「入れない理由を言えよ」
「とにかくダメなのよ」
「来たぞ」
エレベーターの扉が開くと中に入る。
「何階?」
「先に押せよ」と言うので降りる階のボタンを押すと扉が閉まる。
「早く押さないと通り過ぎちゃうわよ」
「そんなことないさ」
「なんで?」
「同じ階で降りるから」
「同じ階?」嫌な予感に襲われ「まさか、近くの部屋を取ってるなんて言わないわよね?」恐る恐る聞くと「隣の部屋」
「ハ?」しつこさの極意を見た気分になる。
エレベーターが目的の階で停まるとキラは何も言わずに歩いていき、ショウは黙って後ろから歩くと、キラが部屋へ入るのを確認して自分の部屋へ入った。




