56-1 アウラ リートレからの報告
「そういえば、頼みっぱなしだったな。シンシアのことがあったから、すっかり忘れてた。それで、隔離範囲と中心地がわかったのか?」
「はい」アウラ リートレはポーチから調査内容が書かれている紙を出すと広げ「中心地は大陸の最西端のこの国で、ここを中心に、大陸のほぼ西半分に影響が出ています」
「なんだって! ラルたちの姿が戻ってしまう範囲と同じじゃないか。じゃあ、この事が関連してるんだとしたら、詳しく調べないといけないな」
紙を引き寄せて地図を見ると「確か、この国の右隣の国に、キラの元メンバーのチームが、幽閉されてる彼らを救出に潜り込んだんだ。地図で見ると一番小さい国だな。誰が領主なんだ?」
「空気が流れないので、私では近付くことができませんでした」
「そうか。無理はしなくていい。何か起きたら大変だからね。詳細はこっちで調べるよ」
「はい」
「フロス アクアエは行くことができるかな?」
「大丈夫だと思いますけど、確認したほうがいいと思います」
「そうだよな。リートレはフロス アクアエの誰かと接触できる?」
「はい。大丈夫です」
「じゃあ、調査に行けそうか聞いて、大丈夫だったら頼んでくれないか? 調査結果も聞いてくれると助かる」
「わかりました。調査方法が決まったら知らせに行きます」
「ミランドの手鏡があるだろう?」
「ああ、そうですよね」
「ミランドには会ったら話しておくから、進捗はミランドに入れてくれないか?」
「了解です」
「他に、気になったことがあった?」
「いえ、他には」
「そういえば、君たちイータル ヴェンティは、シルバーフェニックス族の五大貴族のことは知ってるだろう?」
「もちろんです」
「この世界に来てる五大貴族を見つけることができるかな?」
「……どういう意味でしょうか?」
「例えば、シンシアは水の貴族だろう? 彼女と会ったとき、水の貴族だとわかった?」
「ああ、そういう意味ですか。人間の姿になってしまったらそこまでわかりませんが、精霊だということくらいならわかります」
「そうなんだ。じゃあ、この国の領主の屋敷や、隣のアルビオン国の領主の屋敷近くで、人間の姿をしてる精霊を見かけたことはあるか?」
「ずいぶんと場所が限定されてますが、何かあったんですか?」
「ちょっとね。どう? 心当たりがあるか?」
「そうですね……私は南側の担当ではないので、いつもいるわけではないからわかりませんが、担当に聞いてみましょうか?」
「そうしてくれるか? 助かるよ」
「では、その報告も、ミランドの手鏡でお知らせします」




