19-2 もう一つの救出グループ
「バレたついでに、サーシュはどうした?」
「いないわよ」
「どこへ連れてった?」
「さあ?」
「じゃあ、サーシュを連れてった奴は何者なんだ?」
「エッ?」
「俺だって調べるさ。当然だろう?」
「……抜け目ないのね」
「例のグループの奴か?」
「ねえ」
「何?」
「これ以上、深入りしないほうがいいわ」
「どうして?」
「前にも言ったでしょう? 危険だって」
「わかってる」
「わかってないわ。命の保障はないのよ」
「ああ」
「あんたにだって家族がいるでしょう? もしもの事があったら悲しむわよ」
「家族ねえ。勘当同然で出てきたから、いないようなもんだな」
「呆れた放蕩息子ね」
「賢兄愚弟。兄貴たちができ過ぎてさ。いろいろあったんだ」
「お兄さんがいるの」
「二人」
「フウン。普通、末っ子ってかわいがられるものじゃないの?」
「できのいい息子をかわいがる親だっているだろう?」
「……まあね」
「キラにだって家族がいるだろう? 人のこと言えるのかよ」
「家族はいないわ。天涯孤独の身よ」
「……そうか。悪いこと言った」
「いいわよ、気にしなくても。それより、どんな理由があるにせよ家族は家族よ。あんたに何かあれば悲しむわ」
「それは俺の問題だろう? 当の俺がいいと言ってるんだから、お前が気にすることない」
「あんたがよくても、家族はいいと思ってるとは限らないでしょう?」
「なんと言われようと、俺の考えは変わらない」
「じゃあハッキリ言うわ。あんたの加入は認められない」
「理由は?」
「エッ?」
「認められない理由はなんなんだよ」
「理由って」
「納得のいく理由を聞かせろよ」
「……とにかく、認められないのよ」
「それじゃ理由にならない」
「なんと言われようと、認められないものはしょうがないじゃないの」
「断るには理由があるはずだろう?」
「もちろん」
「どんな理由だよ」
「規定により、加入は認められない」
「その規定って?」
「グループの規定よ」
「そんな事わかってる。規定の内容を聞いてるんだ」
「普通の会社だって、こう言って断るでしょう?」なに訳のわからないことを言ってるのよ、という顔をすると「そういうことですから、他を当たってください」
「ヤダね」
「ヤダって、どう転んでも無理なのよ」
「なぜ?」
「言ったじゃない、グループの規定だって」
「だから、どういう規定に引っ掛かるんだって聞いてんだろう?」
「なんでいちいち言わないといけないの?」
「なんで断られるのかわからないからだよ。どういう規定に反してるんだよ」
「しつこいわね。とにかく、ダメなものはダメなの」
「納得いかねえ」
「自分だったら絶対入れると思ってるの? ずいぶんと自信があるのね」
「グループは、彼らを助けるのが目的で結成されたんだろう? 同じ志を持つ者が加入したいと申し出てるのに、審査すらしないで、門前払いされることに納得がいかないと言ってるんだ」
「それは……」
「それは何だ?」
「……とにかく、規定によって加入は認められないのよ」
「本当に彼らを助けてるのか?」
「当たり前じゃないの!」




