2-2 保護活動
「何言ってるの。ダメよ」
「お姉ちゃん、お願い」
「ダメよ。あんな得体の知れない男、危険だわ」
「お願い! お兄ちゃんを助けてあげて! お兄ちゃんが一緒じゃなきゃ、エレナ行かない!」手を離して男のほうへ駆け寄っていく。
「アッ、ちょっと!」
「お兄ちゃんも一緒!」振り返ると繰り返す。
女は少しの間様子を見ると、説得は時間が掛かると判断し「フゥ、わかった」再びコンピューターのところへ行ってボタンを押すと、ガラスが全部消える。
「ありがとう、エレナ」男が少女を抱き上げると「ほら、急ぐわよ。あと五分で警備回路が正常に戻るから」
女が入ってきたドアへ向かうので「あと五分? ここは六十九階だぞ! どうやって五分以内にこの建物から出るんだよ!」
エレナを抱えて部屋から出ると「屋上にエアバイクが置いてある」通路奥の非常口を開けて階段を駆け上がっていく。
女のあとを追いながら「エアバイク? そんなもの、どうやって屋上まで運んだんだ?」
「説明してる暇ない!」
「警備回路が正常に戻ったら、俺たちが部屋にいないことがバレちまうぞ! 逃げ切れんのか!」
「モニターに細工したから、あの部屋へ入らないかぎり気付かれないわよ!」
「根回しは完璧だって?」
「当たり前でしょう!」
「さすが、プロの狩り人だな」
「あんたは半人前の狩り人でしょう?」
「あんたと呼ぶな! ショウだ!」
「半人前で十分よ!」
「俺は狩り人じゃない!」
「私だって狩り人じゃないわよ!」
「信じられるか!」
「信じるかどうかはあんたの勝手! 急いで! あそこにあるから!」
屋上に出た三人は、給湯器の陰に置いてあるエアバイクへ走る。
「あと何分だ?」エレナを抱えて女の後ろに乗ると「三分二十秒。行くわよ! しっかり掴まってなさい!」エンジンを掛ける。
「ちょっと聞きたいんだが、エアバイクで、どうやって……ワアアアアアアアアッ!」
三人が乗ったエアバイクは、柵を超えると、屋上からビルの壁面を伝うように駆け降りていく。
「信じられねええええっ! これじゃあ飛び降りるのと一緒じゃねえかああああっ!」
「口を閉じてないと舌噛むわよ!」
「このまま地面に激突なんてえええっ、俺は絶対に嫌だからなああああっ!」
「勝手に付いてきといて何言ってんの!」
エアバイクは、ものすごいスピードで駆け降りていく。
「行くわよ! 振り落とされないようにしっかり掴まってなさい!」
エアバイクは壁面を離れて宙を舞い、摩擦音を立てて地上へ降りると「あと二分!」さらにスピードを上げて暗闇を疾走していく。