52-4 ミランドたちからの情報
「ジットに連絡して、元部下の人達に、それとなく聞いてくれるように頼んでみたら? こんな人物に心当たりがないか、とか」
「ジットも、もしかしたら心あたりあるかもしれないな。あとでメールしとくか」
「それにしても、あのご老公が用心する人物って、誰なんだろう?」
「それもあるが、その前に、なぜご老公はシンシアを匿ったのか」
「本当に匿ってたんだね」
“私も、どうして幽閉しないのか聞いてみたの。そうしたら、孫くらいのお嬢ちゃんを、幽閉なんかできないよって”
「ご老公も私たちの仲間を何名も幽閉してるでしょうに」ラルが不満そうに呟くと「ミランド。シンシアには、発信機や盗聴器類は付けられてなかったんだろう?」ショウが確認する。
“あなたに貸してもらった発見器を使って調べたけど、何も付けられてなかったわよ”
「何が目的なんだろう? シンシア。ご老公はまた会おうって言ったんでしょう?」
“うん。私も不思議だった。もう一度会う機会があるとは思えなかったから”
「やっぱり何かあるな。ご老公の近辺を調べてみる必要があるぞ」
「カイたちにも聞いてみる?」
「そうだな。組織でも領主たちのことは細かく調べてるだろう。本部に行った後、折りを見て聞いてみるか」
“ラル。そろそろシンシアが疲れてきたみたいだから、続きはこっちに来てからにしよう”
「ああ、ゴメンね。長話ししちゃった」
“ううん。久しぶりに気兼ねなく話ができて、ちょっとストレス解消”
「そうなんだ。それは良かった」
“ラルも、体調良くないんだから、無理はしないでね”
「うん、気を付けるようにする」
“あの、ショウさん”
「何?」
“ラルのことお願いします。自分のことを考えずに行動してしまうところがあるので、注意してあげてください”
「シンシア! 私のことは気にしなくていいから、自分のことを考えて」
「注意して見張っとくよ」
「ショウ!」
“ラル、待ってるから。気を付けて来て”
「大丈夫。もう少しだから、待ってて」
“じゃあ、そろそろ切るね”
「ミランド、電話ありがとう」
電話が切れると、新しくお茶を入れて一息つく。
「まったく、少し謎が解明されると新しく謎が出てくる。参ったな」
「やっぱり、ご老公が言ってた、用心したほうがいい客が気になるね」
「シンシアを屋敷の外へ出したことが、さらに興味を引く点だね。広い屋敷だ。シンシア一人、匿っててもわからないだろう? それなのに、なぜそこまでするのか。謎の人物は一体何者なんだ?」
「シンシアから聞いた禁足地のことと一緒に、グループに報告して調査してもらう」
「俺はPFSから情報を取る。あとですり合わせよう」
ラルは部屋からPCを持ってくると、ショウと一緒に調査を始めた。




