52-1 ミランドたちからの情報
「私もいろいろ考えてみたけど、何を目的として開発してるのかがわからないと、予測できなくて」
「だろうな」
「もしかしたら部門じゃなくて、単に救出するための機械の開発とかかもしれないし……」
「それはないだろう。そんな事なら隠す必要ないじゃないか。今回の開発は極秘で進められてるから、今、外部に知られてはいけないということだ。そうなると、発想を飛ばさないと答えは見つかりそうにないな」
「発想を飛ばす?」
「今、俺たちが思いつくようなことではないんだろう」
「それってどんな事?」
「今、考えて、すぐに答えが出ることじゃないと思う」
「……叔父様は何を計画してるんだろう?」
「そうだな」と言って考え込むので「そんなに気になるの?」
「ああ、気になるね。一体、何をしようとしてるんだろう?」
「何をしようとしてる?」
「とにかく、チェックリストに加えておこう」ショウは元の席に戻るとPCの電源を入れ、書き込んでいく。
その時、ショウの携帯が鳴ったので見てみると、ミランドからだった。
「俺だ」
“今話して大丈夫?”
「ああ、どうした?」
“そこにラルいる? 携帯に掛けたけど出なかったから”
「目の前にいるよ。代わろうか?」
“じゃあ、スピーカーにして”
「わかった」携帯をテーブルに置くとスピーカーにする。
「ミランド、ゴメン。携帯、部屋に置きっぱなしだった」
“やっぱりね。そうだと思った。どう? ショウの了解取れた?”
「……ええ、渋々だけど」
「当たり前だろう!」
“まあ、そうよね。じゃあ、明日、出発できるのね?”
「そのつもりだ。カイたちに連絡しないとな」ショウがPCからメールを送る。
“ラル、シンシアが話したいって”
「その場所は、話しても声が外に聞こえたりしない?」
“大丈夫よ。気を付けてるから。ほら、話して……ラ、ラル?”
「シンシア。体調はどう? その場所は安全な所?」
“体調は少し良くなった。今いる場所は個室で、ミランドも一緒だから、落ち着いてる”
「そうなんだ。よかった。食事は大丈夫? 食べてる?」
“ミランドが全部チェックしてくれるから、なんとか食べてる”
「そう。ちゃんと食べて、睡眠とってね。あと、薬を飲むのを忘れないでね」
“ラルも、無理しないでね”
「ありがとう」
「シンシア。少し聞きたいことがあるんだが、話しても大丈夫か?」
“ええ、大丈夫”
「ミランドも一緒に聞いてほしい。南部の街から組織の本部へ行くまでの道中で、感覚的に変化を感じたところはあるか?」
“感覚的? どういうこと?”ミランドから質問がくる。
「どうやら大陸の中心を境に、西側にいるグループのメンバーたちの姿が、元に戻ってしまう現象が起きてるらしいんだ。しかし、東側は変化しないらしいんだが、何か気付いたことはないか?」
“そういえば、どこだったっけ? シンシアも、同じところで感じが変だって言った所あったよね? うん。あれは……組織の本部がある森に入る所だったと思う……結界のような空気が突然重くなったというか……うまく表現できないんだけど、変な感じがした。そうそう、車のフロントガラス以外の窓にスモークが貼られたすぐあとら辺だったよね? うん、そうだった”
「結界?結界が張ってあったの?」




