53 グループの構造
「他に、叔父様とどんなことを話したの?」
「他に? 大体ラルに話したと思うけどな……そういえば、ラルを王国へ戻すように話したら、今、王国へ行く入り口が閉ざされてて、戻ることができないと言ってた。
そうしたら、救出者はどこで養生するのか聞くと、こちらの世界のどこかで対応してるが、その場所は安全が確保されてると言ってた。
こちらの世界で安全が確保できる場所があるとは思えなかったから、どこか聞こうと思ったが、答えてもらえそうにないから聞かなかったが、ラルは心当たりがあるか?」
「ううん、叔父様がそう答えたの?」
「ああ」
「……王国へ行く入り口が閉ざされていることは前に連絡がきたから知ってるけど、こっちの世界で安全に養生できる場所があることは知らない。そんな場所ってどこなんだろう? 救出者を迎えにくるメンバーなら知ってるかもしれない」
「そうだな。ということは、シンシアの弟君はその場所を知ってる確率が高いわけだ」
「ジェシー君? そういえばグループにいるって言ってたけど、どの部門に所属してるんだろう?」
「部門? グループはいくつものセクションに分かれてるのか? そういえば、治癒再生能力があるアルバートは、負傷した救済者の治療をすることになったと言ってたな」
「……」
「それくらい教えてくれてもいいだろう? 俺も一応グループのメンバーなんだぞ。お前の叔父も承認してくれたんだからな」
「……私も、グループの構造については詳しくは知らないけど、たぶん三つの部門に分かれてて、一つは救出部門。
ここは私たちが所属してるところだから、大体どんな部署が設置されてるのかわかると思う。
情報収集、幽閉場所の調査、救出チーム。
もう一つは救護部門。
救出者のケアが主な任務。前にショウが予測してたとおり、グループの支部がある場所近くに保護施設があって、能力別に任務地に派遣されて、そこで治療を行う。
アルバートは外傷を治癒する能力を持ってて、私がケガをしたから、あの古城近くの支部に派遣されたと言ってた。
最後の一つは何かの開発部門らしくて、私たちには公開されてないから、詳しくわからない」
「なにを開発してるんだ?」
「わからない」
「それも、お前の叔父に聞くしかないが、教えてくれないだろうな。しかし、どうしてもう一つ部門があると知ってるんだ? 内容が極秘なら普通、わからないようにするだろう?」
「たぶん、私しか知らないと思う。知ったのは偶然だったから。
たまたま叔父様とチャットで会話してたときに緊急連絡が入って、開発部門の担当者から緊急連絡だって、秘書の声が聞こえてきたの。
その後すぐに音声がミュートにされたから、その後の会話は聞こえなかったんだけど、戻ってきた叔父様に、何を開発してるのか聞いたら、お前はまだ知らなくていいと教えてくれなかった」
「気になる部門だな。一体何を開発してるんだ? 開発してるということは、今までなくて、新規に何かを作ろうとしてるってことだ。お前たちが新たに作ろうとしてるものは何だ?」




