52-2 再確認
「私は……私は、ずっと、人間の世界にいられるかわからない」
「なんで? こっちで家庭を持つお前の仲間がいるんだろう? だったら……もしかして、王族の一員だからか?」
「やっぱり」
「ダメだ!」
「でも……」
「どうしても、その部分は話してくれないのか?」
「それは……それは……」
「わかった。聞かないよ」
「……」
「そういえば、シンシアもお前の瞳と同じ色をしてるのか?」
「エッ? なんで?」
「昨日、五大要素を統括する貴族がいて、その中で、空の貴族だけいない。空じゃないと言ったが、もしかして、その空の位置にいるのが、王族なんじゃないか?」
「……」
「なるほどな」
「どうして、そう思うの?」
「王族も貴族に入るんだろう? でなきゃ、五大要素の一つが空席で、その上に王族がいるってバランス悪いだろう? だから、そう思った」
「……何も言えない」
「ああ、答えなくていい。そう思ったら、シンシアもお前と同じ瞳の色をしてるんじゃないかと思ったんだ」
「……どのみち、シンシアに会えばわかるから。色は違う」
「違うのか? でも、水の貴族はみんな同じ色の瞳をしてるんだろう?」
「……」
「わかった。これも答えてもらえないのか。とにかく、彼女に会うのが楽しみだな」
「……」
「そういえば、ラルに聞きたいことがあったんだ」
「……答えられるかわからないよ」
「かもな。でも、一応聞いてみたい」
「……何?」
「この大陸に来るとき、ケッドマン社長のクルーザーに乗せてもらってたときだ。海の精、マラ ルクスを見ただろう?」
「ああ、そうだったね」
「なぜ俺にも見えるんだ?」
「アッ」
「ミランドにも、なぜイータル ヴェンティたちが見えるのかと聞かれた。お前の叔父も驚いてた。お前も、マラ ルクスが見えると言ったとき、驚いていただろう? なぜなんだ?」
「それは私も驚いた。でも、最初に見たのは……フロス アクアエ……でしょう?」
「そうだ。古城の隣の森の中で、森の長老の大木からお前が気のエネルギーを分けてもらったとき、向かいの湖面から俺たちを見てた。あの時は、お前がシルバーフェニックスだと知ったとき。それが原因なのか?」
「……わからない。今までこんな経験したことないから。どうして突然見えるようになったのか、わからない」
「なんだ。理由を知ってると思ってたのに」
「叔父様なら、たぶん知ってると思う」
「そんなようなことを前に言ってたよ。見える原因がいくつかあるが、今は特定できるだけの情報がないから、わからないと言ってた」
「そうなんだ」
「俺のように、人間なのに精霊が見えるようになったという話を聞いたことあるか?」
「ううん、聞いたことない」
「じゃあ、今度お前の叔父と話したときに、いくつかあるという原因を聞いてみるか」




