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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第五章 謎の組織
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50-2 先に進めない理由

 

 家に入ると、ラルが朝食の支度をしてリビングのテーブルに座っていた。


 PCで何か調べものをしているようなので「もう起きてたのか? 無理しないで寝てろよ」

「いつも同じ時間に起きてたから、目が覚めた」


「そうか。グロサリーストアの奥さんに朝食をもらってきた」バスケットをテーブルに置くと蓋をあけ、中からタッパーを出す。


(また声が出なくなるんじゃないかと思ったけど、大丈夫だったようだな)


 ホッとして用意してある平皿におかずを乗せていくと「出発は午前十時だよね?」

「エッ? ああ、俺たちは一週間後になった」

「どうして?」

「お前の体調を考えて、遅らせてほしいと話をしてきた」


「じゃあ、ショウは先に行って。シンシアたちは今日、本部に着くだろうから、早く治療が受けられるようにしてあげて」


「彼女の対応はミランドに伝えて、俺たちが行くまで対応してもらうようメールする」

「それじゃダメだよ。本部がどんな所なのかわからないんだから」

「仕方ないだろう。今はできる対応をこなすしかないんだ」

「だから、本部へ連れていくことに反対したのに」


「いまさら言っても仕方ないだろう。大丈夫だ。向こうにはイータル ヴェンティたちも付いてる。何かあれば対応してくれる」


「イータル ヴェンティたちは、風の通りがないと建物の中に入れない。室内には入れないんだよ」

「だからと言って、ミランドがいない今、お前一人置いて俺だけ先に行けるわけないだろう?」

「……どうしよう……」


「とにかく、グループに連絡を入れておく。さあ、しっかり食べて薬を飲むんだ。動けるようになることが先決なんだから」

「……うん」


 朝食後、お茶を飲みながらスイーツを食べると「おいしい」沈んでいたラルが笑顔になるので「まったく、奥さんのスイーツが一番ラルには効くな」

 今日は大きなイチゴが乗ったムースで、一口ずつ味わって食べる。


 薬を飲んだ後、部屋へ戻ってベッドに横になっていると、ラルの部屋でPCを操作していたショウの携帯にメールが来た。

「ジットからか?」出発を遅らせるとメールしていた返信かと思ったが、着信を見るとカイからで、ラルに飲んでほしいものがあるので渡しにいく、というものだった。


 どういうことなのか聞くためにカイに電話すると “ 突然メールして悪いな。あんたたちのことを本部に連絡したら、メンタルに効くものがあるから、試してみるよう返事が来たんだ。運よくこの村の薬局にあったから、飲み方の説明を兼ねて、家まで届けてやるよ”


「しかし、メンタルの症状は人それぞれだから、ちゃんと診察を受けてからでないと、薬を選ぶのは難しいんじゃないのか?」


“これは薬じゃねえんだよ。それも説明するから、行っていいか? 場所はグロサリーストアの奥さんから聞いたから”


「ああ、わかった」電話を切ると「ラル、カイがこれから、メンタルに効くというものを持ってきてくれるそうだ。なんか薬じゃないらしいけど、念のためにチップを付けといてくれ」


「あ、うん」自室へ行くと、チップを付けて戻ってくる。


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