48-1 ミランドからの電話
ラルが部屋に戻った後、情報収集のため、裏社会のサイトに入って調査しているとき、携帯が鳴ったので着信を見るとミランドからだった。
携帯の音声をスピーカーにして「もしもし?」
“ショウ?”
「ああ。今どこにいるんだ?」
“小さな町の宿屋よ。部屋に入って落ち着いたところ”
「そうか。シンシアは大丈夫か?」
“ええ。ラルから貰った薬が効いてるみたいで、落ち着いてる”
「それはよかった。部屋には二人だけなんだろう?」
“あと、イータル ヴェンティの二人がいるわよ”
「そうか。ならシンシアに、チップを取って、身体にかかる負担を軽減するように言ってくれ」
“ああ、そうね。シンシア、カーテンだけ閉めたらチップを取って。付けっぱなしは良くないってラルも言ってたから”
『わかった』
窓は開けたままでカーテンの閉める音がすると “明日には保護施設に着くとさっき説明されたけど、そっちはいつ出発するの?”
「明日の午前中に出発する。たぶん、こっちのほうが一日着くのが遅くなるだろう」
“そうなの。わかった”
「イータル ヴェンティたちは何をしてるんだ?」
“シンシアと一緒にお茶を飲んでるわよ”
「そうか。仲間が一緒だと、彼女も心強いだろう」
“そうね。私が見つけたときは、かなり怯えて落ち着かなかったから。その時から比べると、大分良くなってる”
「それは良かった。とにかく、合流するまで頼むよ。たぶん、本部へ行ってもすぐに会えないだろうから」
“そうなの? すぐに会えるようにできないの?”
「行ってからでないとわからない。向こうのリーダーと会ってみないと、何とも言えないからな」
“そっか。できるだけ早く会えるように段取りを付けてよ”
「わかってる。何かあったら連絡をくれ。こちらもメールを入れるようにする」
“そういえば、メールできるのよね。了解。じゃあ”
電話を切ると、少ししてミランドからメールが来た。
『届いてる? これからこまめにメール入れるから』
「届いてるよ。こちらも何かあればメールする」
ミランドに返信してグループへ進捗情報のメールを送ると、ラルの叔父の総責任者から、シンシアの弟がグループにいるから、連絡が取れるようになったらメールするようにと返信がきた。
狩りが始まって以降、連絡手段がなかったため、音信不通だったので、無事を確認したいとのことだった。
「これは吉報だな。シンシアも元気が出るだろう」
早速ミランドへメールを送ると、返信が来るだろうと思っていたのに、電話がかかってきた。




