45-1 再会
昼寝する時間が遅かったので、ラルが起きてきたときはすでに夜になっていた。
「ああ、起きたのか。じゃあ夕飯にしよう」
リビングへ行くと、テーブルで調べものをしていたショウがキッチンへいく。
「先に食べなかったの?」キッチンの入り口で声を掛けると「一人で食べてもうまくないだろう? しばらくミランドもいないし」
「それなら、起こしてくれればよかったのに」
「何言ってんだ。お前は体力を戻すことが最優先だということを忘れたのか?」
「忘れてはいないけど……」
「じゃあ、もうすぐ温まるから、テーブルのセッティングをしてくれ」
「アッ、うん」
テーブルを拭いてランチョンマットを敷くと、ショウがパンとシチューを持ってくる。
「今日は野菜のコンソメスープと、パンはカンパーニュとライムギパンだそうだ」
「朝はライムギのリゾットだった」
「ライムギパンは、バターと蜂蜜を塗って食べろと言われた」ビンをパンの横に置く。
「けっこう黒いんだね」珍しそうにライムギパンを取ると、蜂蜜を付けて一口食べ「うん、おいしい」
「少し焼いたほうが香ばしいな」ショウはバターを付けて食べる。
食後、お茶を飲んでいると「そうだ、イータル ヴェンティが薬を持ってきてくれたぞ」テーブルの端に置いてある紙袋をラルの前に置くと、早速、中身を確認する。
「メモが入ってる」二つ折りになっている紙を広げて読むと「なんて書いてあるんだ?」
「症状別に、薬の飲み合わせが書いてある」
「ヘェ。それで、今のお前に合う症状が書いてあるか?」
「一番最初に書いてある」持ってきた薬のポーチを開け、薬の種類を確認すると飲む分を揃える。
「その組み合わせで姿が戻るのか?」
「別のメンバーからの情報みたい。効くかどうか試してくれって」
「そうか。スタンが明後日出発すると言ってたから、姿が元に戻れさえすれば一緒に行けるだろう」
「でも、戻らなかったら?」
「その時は、チップを付けて強制的に姿を変化させるしかないだろう」
「前は先に行ってもらうって言ってたでしょう?」
「朝会のときにそう言ったら、カイに、置いてくことができないから、調節してくれと言われた。俺たちを連れていくと本部に報告してしまってるから、置いてくことができないんだと」
「そうなんだ……」
「体力は大分戻ってきただろう? 無理せず、調整しながらいこう。ミランドたちと合わせて行動しないといけないから、遅れるわけにいかないだろう?」
「ミランド、見つけてくれるかな?」
「イータル ヴェンティの二人も付いてるから、すぐ見つけてくれるよ」
翌日の午後、リビングで情報収集をしているとき、ミランドからショウの携帯に電話がかかってきた。
『ショウ! 見つけた! ラルいる?』
「もう見つけたのか! 今ラルに代わる。ラル、ミランドからだ。見つけたそうだ」向かいに座っているので携帯を差しだすと「本当!」受け取って「ミランド! 見つかったの!」
『ラル! 今、隣にいるから代わるね。電話口にいるから話して』
『も、もしもし? ラル?』
「あ……シンシア?」




