43-3 逃走中の重要者と回復の兆し
ショウはしばらく考えると「フロス アクアエやイータル ヴェンティたちに携帯を持たせられたらいいのに。直接話ができる方法はないのか?」
「それは無理だよ」否定するラル。「イータル ヴェンティたちは国境や大陸をまたいで移動するし、フロス アクアエたちは通常、水の中にいるから」
『一つ、方法があるわよ』とミランドが言うので「何か方法があるのか!」聞き急ぐショウ。
『手鏡を持ってもらうのよ。そうすれば呼びかけることができる』
「それいい案! ミランド、あとで雑貨屋に行って買ってきて。ショウ、カード」
「ああ」ポケットからカードケースを出し、この大陸の通貨でチャージしてあるカードを渡すと、受け取るミランドが『あとで行ってくる』カードケースにしまう。
「これで、何かあったときすぐに連絡が取れるな」
「さすがミランド。ありがとう」
『お礼なら、グロサリーストアの奥さんお手製スイーツ三個でいいわよ』
「ハハハッ、わかった。買っとくよ」
「それにしても……疑問一。なぜご老公は、そのシルバーフェニックスを幽閉ではなく匿ってると表現したのか。
疑問二。どうして匿うことになったのか。
疑問三。なぜ、匿われてた彼、もしくは彼女が行方不明になったのか。
疑問四。今どこにいるのか。
疑問五。彼、もしくは彼女が水を管理する貴族で、本当に海流を変化させてたのか」
『匿ってた彼、もしくは彼女に何をやらせていたのかが抜けてるわよ』ミランドが指摘するので「ああ、そうだな」
ラルがまた黙り込むので「どこら辺にいるのか、心当たりがあるんだろう?」ショウが再度聞くと「エッ!」驚いて顔を上げるので「どこにいるか目星が付くんだろう? 連絡を取る方法があるか?」
「どうするの?」
「助けるに決まってるだろう! 何のためにこの大陸に来たんだ!」
「……助けて、くれるの?」
「いまさら何を聞くんだよ!」
それでもまだ迷っているので「ラル、時間がないんだ。きっと狩り人たちが動いてる。もしどこかに隠れてるのであれば、一刻も早く迎えに行かなければならないし、お前のように姿が元に戻ってるのであれば、見付かってしまう確率が高い」
「自然の中に隠れられるから、見付かることはないよ」
「忘れたのか? この大陸には大量のダークルーラがあるんだぞ!」
「アッ!」
『ラル。大丈夫よ、私が行く。ショウ、組織のメンバーはどこら辺を捜してるの?』
「ミランド……」
『私が行けば、精霊だとわかって、向こうから出てきてくれるか、声を掛けてくれると思う』
「なるほど。それが一番時間が掛からず、保護できるな」
「ミランド、私の携帯を持ってって」ラルがポケットから自分の携帯を渡す。




