43-2 逃走中の重要者と回復の兆し
『なんでこの土地の領主がそんなことするの?』ミランドが聞くので「ご老公から捜すよう依頼がきたらしい。ジットの元部下からそんな情報が来てた」
『どういう繋がりがあるのかしら?』彼らの考えを模索するミランド。
「俺も、興味を持ったよ」
ラルが何やら考えごとをしているので声をかけ「行方不明のシルバーフェニックスに心当たりがあるのか?」と聞くと少し間をあけ「前に、南の海流の流れを変えたのが私たちの仲間かもしれないから、今回の騒動の実行犯に、私たちの仲間がいるかもしれないという話があったでしょう?」
「そんな事があったな」
「それと、どうしてご老公に匿われていたと表現されてるのか。普通は幽閉されてるでしょう?」
「それは俺も気になったから、スタンに聞いてみたところ、彼らもそこまではわからないらしい」
「あと、どうして貴族の者だとわかったの?」
「それも、流れてきた噂止まりだ」
『そうなると』ミランドが入ってくる。『曖昧な噂だけで、組織の彼らがわざわざ出向いたというの?』
「そうだ」
『本当に?』
ラルも気になるのか、ショウの返事を待つ。
「曖昧だろうと不確定だろうと、行方不明と聞いたら、保護しなければならないからだと言ってたよ」
『上辺だけ繕ってない?』
「俺もそう思ったけど、彼らの行動の早さや表情から、あまり悪意は感じられなかった」
『……そう』
ラルは何も言わずに考えている。
「ラル」改めて声を掛けるショウ。「言いたくないかもしれないが、行方不明のシルバーフェニックスに付いて、心当たりがあるんだったら教えてくれないか? できれば、貴族の内訳も」
そう言われて、ラルはどうしようかと考える。
「無理にとは言わない。俺も、お前が例の一員だとわかった後、貴族という位もあるだろうと漠然と考えてはいたが、本当にあるのであれば、どのような仕組みになっているのか知りたい」
『ラル』ミランドが声を掛けると「君も知ってるのか? ミランド」
『まあね』
すると、ラルが口を開く。『自然は五大要素でできていると言われてるでしょう?』
「ああ」
「その五大要素を管理してるのが、五貴族と呼ばれる者なの」
「なるほど。では、行方不明となってると言われてる貴族は、水を管理してる貴族の誰かの可能性があると言うんだな?」
『……その可能性が高い』
「そうなのか」ショウはしばらくの間考えると「もしかして、海流の変化の件は、ここに繋がるのか?」ラルを見ると「……もしそうなら」
「だとしたら、ご老公が匿ってたというのであれば、海流を変化させてるのは、ご老公……」
「そうなると、この大陸に王国を持ってこようとしてる首謀者は、ご老公になる」
「まだ、海流の変化と王国をここに持ってくる計画は繋がってない。別の可能性がある限り、断定できない」
「でも!」
「慎重に確認していかないと、誤認したら大変なことになるんだぞ」
『私もショウに賛成よ。焦っちゃダメ。複数の問題が隠れてるかもしれないから、一つずつ解決していこう』
「ミランド……」
「もしかしたら、フロス アクアエがこの土地の領主の館に忍び込んでいるのは、その貴族の者を捜すか、いや、逃がすためにいた可能性があるな」
「私も、その可能性を考えてた」ラルが同意すると『それはないと思う』否定するミランド。『そうなると、フロス アクアエたちはイータル ヴェンティたちにウソを吐いたことになる』




