42-4 新たな真実
ショウはまたグロサリーストアの奥さんから朝食用のバスケットを受け取ると、ジットと一緒に帰路に着いた。
「今日の朝食は何だね?」
「ジット。毎回同じことを聞きますね」
「こんないい匂いを毎回嗅がされたら、バスケットの中に何が入ってるのか、知りたくなるよ」
「ハハハッ! そうですね。今日はバターロールとライムギのリゾット。キノコのサラダとフルーツです」
「ライムギのリゾットは初耳だね」
「俺もです。生姜の良い匂いがしてるので、発汗作用がありそうですよ」
「食後に水分補給が必要だね」
「そうですね」
しばらく無言で歩くと「今日の朝会は情報満載だったね」ジットが口火を切る。「ご老公が貴族の者を匿ってたという情報は、本当なのかな?」
「元部下から何か情報が来てないんですか?」
「ああ、その事には一切触れてないよ。あとで聞いてみるつもりだ」
「何か有力な情報が来たら教えてください」
「わかった」
「それにしても、あの単発の電波の発信元が組織だったとは驚きましたね」
「彼らかもしれないと、可能性は考えていただろう?」
「……あなたは何でも見通せるようですね?」
「少しだけだがね」
「他に、何を見通したんですか?」
「まあ……それはまた後にするよ」
「なんでもったいぶるんですか?」
「話しても、先の事を濁されそうだからだよ」
「……そうですか。では、俺も聞くのをやめます」
「引き下がるのかね?」
「今は」
「……そうか。では、この話はここまでだ」
「楽しそうですね」口元に笑みを浮かべているので話を振ると「君と話をするのは毎回楽しいよ」
「楽しさの原因が気になりますね」
「まあ、いいじゃないか。ところで一つ懸念があるんだが、お嬢さんの具合はどうだね? 今度の移動の話は確実だと思うよ」
「そうですね。帰って確認してみます」
「向こうは配慮するようなことを言ってるが、無理ならばここに留まるほうがいいだろうね」
「その事も視野に入れてます」
「そうか」
「俺たちに構わず、ジットは先に行ってください」
「……妻がね、一緒にと言ってるんだよ」
「奥さんが?」
「お嬢さんのことが気になるらしい」
「そうですか。お気遣い、ありがとうございます」
「……娘と重ねているんだよ」
「あ……そう、なんですか」
「同じ年くらいだからね」
「……そうなんですか」
「だから、君たちが残るというのであれば、私たちも残るよ」
「ジット……」
「では、また明日、同じ時間に」
ジットとは家の前で別れると、お腹を空かせて待っているだろう二人のために、急いで家に帰る。




