40-1 イータル ヴェンティからの報告 No2
そして、お昼前にイータル ヴェンティたちが戻ってきたのでミランドが話を聞きにいき、昼食後、鏡に映るイータル ヴェンティからの報告を聞く。
十五・六歳に見える彼女の名はアウラ マリスといい、最初に鏡に映る。
『昨夜、指定の領主の館の庭にある噴水にいるフロス アクアエと、話をすることができました』ショウが入れた紅茶を飲んで落ち着くと、話しはじめる。
『一ヶ月前くらい前から禁足地一帯を流れる川の水が濁りだしてきて、川に住む魚やフロス アクアエたちに痙攣などの異変が起きはじめたので、一斉に別の場所へ避難したところ、川の異変に気付いた領主が半月前にお忍びで禁足地に出向き、その後、徐々に水質が改善されてきているが、一ヶ月前に何が起きたのか、半月前に来た領主が何をしたのか、その調査のために領主の館に来ているとのことでした』
「まさか、こんなところでフロス アクアエたちのことが関わってくるとは思わなかった」
『こうなると、今起こってる他のことも、全部繋がってくると思う』キーを叩くラル。
「そうだな。まずは、一ヶ月前にこの大陸で何が起きたのか、調べる必要があるな。それと、領主は一体何をしたんだ?」考えるショウ。
「ああ?」首を傾げるラル。
「それで、原因は掴めたのか?」
ミランドに聞くと鏡の映像が動き、次にアウラ リートレという名の年上の彼女が映り『私たちが行った晩も、領主の側近の一人が噴水の陰で、外部の者と打ち合わせをしていたそうです』
「それで噴水のところで身を潜めているのか」
「ああ……」
『どうやら川の水にヒ素のような劇薬が流されたらしく、その浄化のために、領主自ら禁足地に赴き、対応したようです』
「ヒ素だって? なんでそんなものが川の水に?」
「ああ!」ラルが怒りだすので「そうだな。自然を破壊しようとしてる」
「ああ!」
「問題は、なぜ禁足地近くの川にヒ素が混入されたのか、だな」
『ヒ素は微量だったので、魚やフロスア クアエたちも痙攣だけで治まったそうです』
「それは良かったが、人間も飲んだら一大事だぞ」
「ああ、ああ」
「わかってる。ヒ素を手に入れて撒けるのは人間だけだと言いたいんだろう?」
「ああ!」
「犯人は人間だ。それも、禁足地近くまで行ける人間」
「……ああ……」
「誰かはこれから調べる」
『でも、どうして大量に撒かなかったんだろう?』キーを叩くラル。『微量というのが気になる』
「それは、ヒ素を直接撒いたからじゃない。ヒ素の成分が出る何かを川に落としたか入れたからだ」
「あ?」
「そこから考えられるのは、禁足地に何かしらの施設があるからかもしれない」
『その施設が原因で海流が変わるほどの磁力が発生してると言うの?』
「その可能性が考えられる」
『この事を、明日の朝食会で報告するの?』
「そのつもりだ。組織の彼らも調査に動く方向で動いてる。この機会に一気に形を付けたい」




