34-2 朝会
「私からの報告はないが、一つ、情報を提供しようと思う」
「今の俺たちに関係がある情報なら歓迎しよう」タキが興味ないように言うと「今回騒動を起こしたこの領土の領主だが、実は、一卵性の双子だということは知られていない」
「なんだって!」大声を出すタキ。
「ジット。それは本当ですか?」耳を疑うショウ。「あの強面の領主が双子? しかも一卵性ですか?」
「そうだ。だから、他の領主の二倍の行動ができるんだよ」
「だろうな」考え込むカイに「何か心当たりがあるようだね」
「エッ、ああ、まあな」タキに目配せするので「手伝えることがあれば手を貸すよ」
「……その時は、相談させてもらうよ」
「そうしてくれ」
「でも、どうして双子だということを隠してるんですか?」ショウが興味を持つと「裏と表の顔を使い分けているからだよ」
「ああ、そういうことですか。だからあの地位まで登りつめることができたんですね?」
「まあ、そういうことだね」
「あなたは、裏の領主に雇われていたんですか」
「……ああ、そうだよ」フフッと笑うと「相変わらず、君の読みは鋭いね」
「今回騒動を起こしたのは、表の領主ですか?」
「そうだろう。見掛けはソックリだが性格が正反対でね。裏の領主は冷静沈着。一方、表のほうは少し臆病でね。心配性と言ったほうがいいかな」
「そう聞くと、トンチンカンな設定なのも納得しそうですね」
「まったくだ」タキが同意するので「君の組織のリーダーも知ってることだと思うから、聞いてみるといい」
「……確認してみる」
「最後はショウ君だが、何かあるかね?」ジットが話を振ってくるので、ラルと彼女の叔父であるキラの総責任者との話を、PSFの調査の結果として話す。
「南側の海流の変化と気流の滞留か。そこまでは気付かなかったな」ジットが興味を示す。
「自然の変化はどこでもあり得ることだ。今、その事を話題に出す必要があるのか?」タキが反論してくるので「彼らの保護活動をしてる組織のメンバーとは思えない発言だね」ジットが鋭く言い返す。
「彼らの動きが自然を左右することくらい、知ってるんじゃないのかね? 逆を言えば、これだけ自然が変化してるということは、彼らの動きが今以上に頻繁になってるということになるだろう? これが何を意味してるか分からないのかね?」
「……何を意味してるか」
「タキ、俺たちも調査しねえとダメだ。この大陸とほかの土地との自然のバランスが崩れてきてるってことだよ」
「なんだと」




