34-1 朝会
翌朝、ショウがジットと一緒にグロサリーストアへ向かうと、リビングのテーブルに、組織のメンバーであるカイとタキが先にきて座っていた。
「ああ、いい匂いがすると思ったら、クロワッサンのサンドイッチですか?」彼らの向かいに並んで座ると、奥さんが一人用の籠に入れて持ってくる。
「いつもながら、天才としか言えない出来ですね」籠に入っているクロワッサンと塩パンを見てショウが褒めると「俺たちも、この村に来てよかったと思うくらい、毎日おいしい食事をいただいてる」痩身のタキも褒めるので「お昼も楽しみにしててね。今日はリゾットよ」と言って部屋から出ていく。
その後、食事をしながらそれぞれ情報を報告していく。
まずは組織のメンバーである痩身のタキから。
「領主の館の事件だが、どう調べても事件に関する情報が出てこないので、フェイクだという結論に達した」
「俺たちも調べたが何も出てこなかったので、その結果に賛成だ」同意するショウが「あなたの推測が正しいようですね」隣のジットに話を振ると「どんな推測なんだ?」ぶっきらぼうにタキが聞く。
「窃盗が入ったというのは、カムフラージュだと思うよ」
「カムフラージュ? その根拠は?」
ジットが屋敷内部を知らないとわからない絡繰りを話すと「なるほど。客間からだけ盗むのがおかしいか。言われてみるとそうだな」
「でもさ、なんでそんなことすんだ?」クロワッサンのサンドイッチを満面の笑顔で食べているカイが、口をモゴモゴさせながら聞くので「お前は子供か。食べ終わってから話せ」注意するタキに「いいじゃねえかよ。で、なんでそんなデマを流す必要があるんだ?」
「ケッドマンの次に狙われるのを回避するためじゃないかと思うが」
「回避する理由は?」
「それはわからない。まだ屋敷にいる仲間に聞いてみたが、確かに最近慌ただしい動きがあるが、具体的に何をしてるのかはわからないとのことだ」
「そうか。この事は組織に連絡しておくから、引き続き情報収集を頼む」
「わかった」答えるジットが「新たな情報が手に入ったら、教えてくれるんだろう?」
「俺たちの仲間になったらだけど、まあ、そうなるんだろうな」お食後のお茶を飲むカイ。
「あと、もう一つ報告がある」タキが続ける。「別任務で動いてるスタンとテッドが、対応を完了して明後日、村に戻ってくる。その後、どうするかは組織と検討した後、決まると思うので、いつでも移動できるように予定しておいてくれ」
「すぐに出発するのか?」
「それはわからない」
「では、決まったら教えてくれ」
「今度はそっちの報告だ」
「私からでいいかね?」ジットがショウに断りを入れるので「もちろん」と答えると、お茶を一口飲み、話しはじめる。




