32-2 ミランドの見解
「暗く見えるとは?」
『人間にはわからない程度のものだから、まだ大丈夫だと思うけど、この状態が進行したら、太陽光の照射率が下がっていくと思う』
「よく気が付いたな。さっき鏡から出てきて、この土地で外に出たのも初めてだったろう? 中心部がどこら辺だとか、どうやって確認したんだ?」
『それは簡単よ。あなたが作った依頼書に描いてあった、この大陸の地図を見たからよ。今いる場所や、北側の港のケッドマンの屋敷の場所も書いてあったし』
「そうだった」
『だから、今いる場所が大陸の中心に近いところだとわかったの』
「なるほどね。でも、これはどう調べたらいいんだ?」
『イータル ヴェンティの報告で何かわかると思うけど』
「どうして?」
『彼女たちは風の流れを作ってるから、その流れに障害が出たらすぐにわかる。調査を頼んだ隔離されつつある空域の原因が何かわかれば、太陽光を遮るものが何なのか、見えてくるんじゃないかしら?』
「その流れで確認するしかないか。あとは、何か気付いたことがあるか?」
『あとは、ラルのことかしら』
「ああ?」
『あ、しか声が出ないなんておかしいもの』
「この事に関しては、さっきラルが気になることを言い出したんだ」
『気になること?』
「この大陸に来てから姿が元に戻るようになった。それは、もしかしたら、例の鏡が発するエネルギーを増幅させて、隔離された空間に流してるからじゃないか、というものだ」
『すごいことを考えるのね。でも、この大陸に来てから姿が元に戻るようになったのなら、理由として一番有力かもしれないわね』
「そうなると、この大陸に来てる他のメンバーが危ない」
『この事は、今グループに報告したから、グループから各メンバーに連絡されてると思う』ラルがキーを叩く。
「そうか。こちらも原因究明が急務だ」
「ああ」ラルがミランドにお茶を入れるので向かいに座ると、ショウが声を掛ける。「ちょっと状況を整理するか。ここに来ていろんな動きが同時に起きたから、何から手を付けたらいいのか混乱してる」
『じゃあ、一休みがてらお昼にしない? もうそろそろ十二時よ』ミランドが壁に掛かっている時計を見る。
「ああ、もうそんな時間なのか。早いな」ショウは立ち上がると「お昼は何にするかな」キッチンへ向かう。




