30-2 イータル ヴェンティへの依頼
「まずは、南の海域を管理してるマラ ルクスに、現在の状況と今後、どのように変化していくかを予測してもらい、それも聞いてきてほしい。
第二に、隔離されつつあるこの空域の範囲と中心地がどこか。
第三に、ここの土地のように異変が起きていると思われる場所の確認。
第四に、ここの土地を所有する領主の館の様子。今回起きた騒動のあと、どのような動きをするかをしばらく観察してほしい。
まあ、最初はこのくらいかな」
『わかりました』
「できれば一つずつ消していきたいから、わかった順に連絡がほしい」
『それでは、最初から順番に行きましょうか。結果から変更される可能性もありますから』
「そうだね。では、最初のマラ ルクスに状況確認することと、現在の海域の状態だな。関連して付随することがあれば、どうするか君たちの判断に任せるよ」
『では、早速行ってきます。報告はどのように連絡すればいいですか?』
「そうだな……では、このテーブルにベルを置いとくから、俺たちが家にいるとき鳴らしてくれ」
『わかりました。では』イータル ヴェンティは顔を見合わすとフワッと浮き、ゆっくり上昇していくと、風に乗って南へ向かって飛んでいく。
「風船が飛んでいったみたいだな」マジックショーの続きを見ている感覚で見送るショウ。
『さあ、こっちのことは終わったから、早く家の中に戻りましょう。ラルを一人にしておくのが心配だわ』ミランドは立ち上がると、ショウを促して家の中に入る。
「ああ?」
リビングへ行くと、お茶を入れて一息入れているラルのほうから声を掛けてきた。
『イータル ヴェンティにいろいろ頼んできたわ。この前、ラルが何かを依頼した二人のようよ』
「ああ! ああ?」自分を指さすので『ラルのことを聞いてきたかって? ええ、どうしてるかって聞かれたから、外に出られないので私が代わりだと言ったら、納得してくれたわ』
「ああ、あああ?」
『なぜその理由で納得したのかって? それはショウに聞いて』彼を見ると「前に会ったとき、具合が悪そうだったからだろう」
「……ああ」納得したらしい。
『それで、あと何かできることがあるかしら?』お茶を入れるショウを見ると「今のところ思い付かないから、お茶でも飲んでてよ」
『そうなの。じゃあ、家の中の探検にでも行ってきていい? しばらくはこの家に留まるんでしょう? ログハウス風でオシャレよね。ここも借りてるの?』
「ああ。空き家らしいから、借りたんだ」
『空き家なの? もったいない』
その後、ミランドは室内探検に行き、ショウは自分の席に座ると、グループへ進捗を報告するメールを作成しはじめる。




