27-1 新たな調査
いつもより多く食べたあと、キッチンへお皿を持っていくラルが冷蔵庫の中をあさり、好物のマンゴープリンを持ってくると、おいしそうに食べはじめる。
ショウは食後の紅茶を入れ、食べやすいように切って冷蔵庫に入れておいた果物を持ってくると小皿をラルの前に置き、フォークを添えると「ああ?」
「マンゴープリンを作ってくれたとき、採れたての果物があったから買ってきたんだ」
「ああ!」
「冷えててうまいぞ」大きい葡萄の粒と取ると、皮を剝いて口の中に放りこみ「他では味わえないうまさだな」ご満悦の顔を見てラルもフォークを取る。
果物は半分くらい食べ、残りを冷蔵庫にしまうと、ラルがポーチから薬を出して飲みはじめた。
「それは、元に戻ると言われてた分か?」
「ああ」
「そうか。今度戻ったら、無理しないでちゃんと治そう」
「……ああ」
「戻れるか心配なのはわかるが、ここは戻らないといけないから、余計なことを考えず、他のことに意識を向けておいたほうがいい」
「ああ。あ、ああ……」ラルは立ち上がると、テーブルの端に置いてあるPCを持ってきて文字を打ち始めるので「隣にこい」椅子を引くと移動してくる。
座るとまたキーを叩き、表示されている文章を指す。
『叔父様と話してた、ここでの調査って何?』
「ああ、それはこれから説明する」ショウも自分のPCを持ってくると、調査資料をモニターに出す。
最初に出たのは、今いる大陸の全体地図。
「今、俺たちがいるのはほぼ中央に位置するここら辺だ」
地図の中央付近にあるダンドルの文字を指すと、幾重にも重なる丘に囲まれた場所で「俺たちがこの大陸に上陸したのは、北側の中央にある入り江になったこの港。
この大陸で栄えてる場所の一つだからかなり大きい。そして、少し内陸部に来た丘の上のこの辺りに、ケッドマンの屋敷がある」
その場所を指すと「ラルの叔父が言ってた、南側の海流が大きく蛇行して、大陸を囲むように流れだしてるとなると、なぜそんな事になってるのか、原因があるはず。ラルは何か思い当たることがあるか?」
モニターに海流の流れとなる矢印を表示すると、ラルは首を傾げて考えこみ、またPCに文字を打つ。『マラ ルクスは、大きなエネルギーが働いて、海流が蛇行しはじめてるって言ってたんだよね?』
「ああ。そうらしい」
『海流の方向が変わる要因はいくつかあると思うけど、そのどれなのか、またはまったく違うことが原因なのか、今の段階ではわからないから、マラ ルクスに状況を見ててもらう感じだと思う』
「そうだよな。今はただ、流れが変わってるのに気が付いた、くらいだからな」ショウは調査結果の予備蘭に海流の件を入力すると、モニターを切り替える。




