26-2 意外な可能性
「潮の流れ、ですか?」
「そうだ。デンジャーゾーンの南側を流れる大きな潮の流れが蛇行しはじめて、大陸の周りを流れるように変わりつつあるらしい」
「すみません。その事が今回の実行犯らしき何者かがいることと、どう繋がるんですか?」
「潮の流れが変わった海域を担当しているマラ ルクスが……」
「大丈夫です。海の精霊ですよね」
「そうだが……」
「この大陸に渡る時、彼らを見かけたので、ラルが教えてくれました」
「……そうか。見かけたのか」
「はい。それで、彼らが異変として報告してきたということですか?」
「……そうだ。海流が変わることは大変な自然の変化だ」
「そうですよね……滅多に起きない、自然の変化です……」
「気付いたか?」
「……その可能性があるんですか?」
「そうだ」
「では……この事態を起こした実行犯は、あなた方の仲間だと……」
「その可能性が出てきた、ということだ」
「それは、想定してなかった……」
その時、カタッと音がしたので音が聞こえたほうを見ると「ラル!」リビングの入り口に立っているので「いつからそこにいるんだ?」立ち上がると傍へいく。
「ああ……ああ……」
「どの辺から聞いてたんだ?」
「……ああ」
「まあいい。こっちに来て座れ」テーブルに連れてくると、自分の隣に座らせる。
「ラフェリアか?」
「……ああ、あああ……」
「ああ、声が出なくなったとショウ君のメールに書いてあったが、声は出てるようだね」
「そうなんですが、あ、しか言葉が出ないようで」
「……そうか。同じような症状が出てるメンバーはいないようだが、再度確認を取ろう。何か解決策を持ってる者がいるかもしれない」
「お願いします」
「あ、ああ、ああ」ラルが袖を引っ張るので「ん? どうした?」
「あ、ああ」
「お前のPCを持ってこい。ここで文字を打てば会話ができる」
すると自分の部屋へ戻り、PCを持ってくると電源を入れて文字を打ちだす。
『叔父様。今回の事態を起こした実行犯がいるって、私たちの仲間かもしれないって、どういうことですか?』
ショウが代弁すると「聞いてたのか」ため息を吐くと「お前にはまだ話す予定じゃなかったんだが、仕方ないか」少し間を空けると「デンジャーゾーンの南側の海域を担当してるマラ ルクスから、強いエネルギーで海流を動かしている兆候が見られると言ってきたんだ」
『それは、私たちの誰かが動かしている可能性がある、という意味ですか?』
「そうだ」
ラルが手を止めるので、今度はショウが「仮に、あなた方の仲間が動かしているとして、故意か偶然か、または脅されて動かしてるという可能性はどのくらいあるんですか?」
「今の段階では、そこまで突き止められていない。これから検証に入るところだ」
「では、必ずしも、あなた方の仲間が実行犯の一人、という可能性は未知数なんですね?」
「そうなるね」




