26-1 意外な可能性
「なぜ、別の計画が動いていると思われるのか、あなたの見解を教えてください」
「先に、君の意見を聞きたいね。聞いてきたのは君なのだから」
「そうですね。わかりました。なぜ俺が裏に何かあると思ったのか。それは、この大陸の領主たちが中心となって、今回の事を動いているらしいことがわかったからです」
「デンジャーゾーンの領主たちが?」
「俺も時々情報を取るために、裏社会のネットワークにアクセスするんですが、この大陸外で起こる幽閉先の襲撃に、ある特徴があることに気が付いたんです」
「それは?」
「それは、地域ごとに領主の狩るエリアが決まってるらしい、ということです」
「狩るエリア?」
「そうです。わかりやすく言うと、世界を十三等分に分け、それぞれのエリアを各領主が縄張りとして襲撃し、幽閉先から強奪してくるらしいんです」
「なんだって?」
「あまりにも統率が取れ過ぎているんですよ。だから、もしかしたら、と思ったんです」
「なるほど」
「あなたも、この大陸にあなたたちの王国を持ってくる可能性があると、情報を掴んでますよね? なので、この事と関連があるかもしれないと考えました」
「……それは興味深い見解だね」
「……それと、ケッドマンの屋敷で狩り人のリーダーから、この大陸の領主間で、お互いのコレクションには手を出さない、という協定が交わされていると聞いて、さらに疑惑が深くなりました」
「……なるほど。そんな事が行われているのか」
「この件に関して、異様に結束している点が気になります」
「私も領主たちの行動には注意を払っているが、なかなかボロを出さないので、監視に留まっているんだよ」
「そうですか。それで、この大陸にあなた方の王国を持ってくる可能性の情報は、どこから仕入れたんですか?」
「……やはり、気になるか」
「もちろんです。そして、何か別の情報も持ってますよね?」
「まあ、いくつかね」
「それは、教えてもらえないんですか?」
「……どこまで話そうか、考えてるところだよ」
「それで、どの情報をいただけるんですか?」
「そうだね。デンジャーゾーンにいるのだから、注意を兼ねて一つ情報を提供しようと思う」
「どんなことですか?」
「まだ確証が取れていないので、あくまでも予測範囲内ということで聞いてほしい」
「わかりました」
「十三人の領主の中で、陣頭指揮を取ってる者がいるらしい」
「陣頭指揮を? 本当ですか?」
「そこから、その者に助言をしている何者かがいるのではないかと、予測してる」
「……陣頭指揮を取ってる領主の陰に、実行犯らしき何者かがいるというんですか?」
「予測だが、そう考えている」
「なぜですか?」
「数か月前から、潮の流れが変わってきたんだ」




