25-3 総責任者
「第二作戦が決まっている今、俺たちが外れたら穴埋めが難しいのではないですか?」
「それはそうだが、新たに問題が持ち上がった。しかも、早急に対応しなければならないことが。そうなれば、計画を変更してでも対応しなければならない。まあ、心配しなくていい。緊急事態は常に想定して計画してる。穴埋めの件は別グループへ依頼するから、なんとかなるだろう」
「さすが総責任者ですね」
「そんなことはない。私で勤まるかと、いつも冷や冷やしてるよ」
「突起でた才能を持つ者が先頭に立って指揮を取れば、必ず成果は上がります」
「君はほめ上手だな」
「そんなことないですよ。本当のことを言っただけです。今、俺の近くにも、同様の人がいますから」
「ああ、元狩り人の指揮官だったという、闇のジルタニスだろう?」
「あなたも彼のことを知ってるんですか?」
「まあね。この騒動が起こる前、そちらで動いてたことがあるんでね」
「そうなんですか。だからうまく計画を立てることができるんですね。情報に長けてるところをみると、裏社会にでも潜り込んでいたんですか?」
「その辺は、君の想像に任せるよ」
「わかりました。勝手に想像します」
「そうしてくれ」楽しそうに笑う。
「ところで、一つ聞きたいことがあるんですが、あなたは今、こちら側にいるんですよね?」
「それで?」
「……今回の騒動の原因が何か、わかってますか?」
「原因?」
「そうです。巷では、例の鏡が発掘されたから、ということになってますが、そうだとは思ってないですよね?」
「……まあ、ね。君はどうだと考察してるんだ?」
「俺は、偶然あの鏡が見付かったとは思ってません」
「それで?」
「俺の見解を話したら、あなたの意見も聞かせてもらえますか?」
「……そうだね。話せるところまでは」
「わかりました。では、俺も話せるところまで話します」
「フフッ、君と話をするのは楽しいね」
「俺も、あなたと話をするのが楽しいですよ」
「それで、君はどう見てるんだ?」
「もちろん、何者かによる計画だと思ってます」
「その何者かはどんな者だ?」
「そこまでは、まだ予測内ですので」
「そうか。それで、その先がどうなってるか、どの程度予測してるんだ?」
「この騒動の裏に、別の計画が動いていると思われます」
「……」
「あなたも、その可能性に気付いてるんですね?」
「……まあね」




