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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第五章 謎の組織
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25-1 総責任者

 

 その後、ラル同様、精神的な負担が大きかったらしく、ショウもすぐ眠りに就いた。


 数時間後、ショウの腕時計のアラームが鳴り、目を覚ますと辺りが暗くなっていた。

「大分寝たな」腕時計を見ると、午後六時を回っている。


 ラルはタオルケットを掴んだまま寝ているので、起こさないようにベッドから出ると、リビングへ行ってPCの電源を入れ、キラの総責任者であるラルの叔父に、彼女の近況とともに感じている疑問を書き、送信する。


「さて、どんな返事が来るか。それによって、これからの行動が変わってくる」


 他の着信メールを確認していると意外に早く返信メールが届き、開けてみると、チャット用のアドレスが貼られていた。

 直接話がしたいということである。


 ショウはすぐにアクセスすると、カメラ機能がオフになっているので姿は見えないが「ショウ君か?」低く頭の奥に響くような中年男性の声が、自分の名前を呼ぶ。


「はい」短く返事をすると「あの子は近くにいるのか?」

「いえ。別の部屋で寝てます」

「……そうか」


「あなたは……」

「ああ、直接話をするのは初めてだね。あの子がいつも世話になってる」


「いえ。僕のほうこそ、グループのメンバーに入れていただいて、ありがとうございます」

「……礼を言われるのは、なんか変な気がするね」

「そうでしょうか」


 少し間があくと「あの子は、大丈夫か?」


「それは、毒を少しでも口にしたのか? という意味でしょうか?」

「……止めてくれたんだろう?」

「もちろんです!」

「……そうか。ありがとう」ため息と安堵感が伝わってくる。


「なぜ毒を飲ませるようなことをさせるんですか!」

「……そうだね」

「もう少しで、俺の目の前で……」

「……そういう、状況なんだよ」


「そういうって」

「私が姪に、毒を飲めと言うと思ってるのか?」

「では、どうして毒なんか持たせるんですか?」

「それは、そういうことをさせる人間に聞きたまえ」


「……すみません。あなたに言うべきことではありませんでした」

「いや、私も強く言いすぎた」


「では、もう一つメールに書いたことをお聞きします。なぜラルを一人で行動させるんですか?」

「ああ、そのことか」


「せめて複数で行動するように、手配することはできなかったんですか?」

「できていたらとっくにやってるよ」

「できない理由は何ですか?」


「最初は複数で行動してたんだが、メリットよりデメリットのほうが大きかったんだよ」

「どういうことでしょうか」


「狩り人のグループが例の鏡を持って至るところに出没したため、複数でいるほうが危険になったんだ」

「……ああ、そういうことか」


「実際、三・四人のグループが、全員一緒に捕まってしまったことがあってね。仕方なく単独行動に切り替えたんだよ」


「事情は分かりました」

「そうか……」


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