表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第五章 謎の組織
222/721

22-2 解決しない問題

 

 ラルは部屋に入るとPCをテーブルに置いて、椅子に座った。


「横になってろと言っただろう」

「今回の事をグループに報告しないといけないから」


「ああ、そうだな。ついでに、薬の飲み分けで元に戻ったと報告してきたメンバーに、同じことが起きたかも聞いたほうがいい」

「ああ、そうだね」PCの電源を入れると、メールを作成する。


 ショウは一旦リビングへ戻り、自分のPCを持ってくるとラルの向かいに座った。


「グループに連絡したら、横になってゆっくりしてろよ」

「……うん」ショウが忙しくキーを叩いているので「なにしてるの?」

「ン? グループにお前の症状を報告してるんだ」


「それは、私が報告してるよ」

「俺から見た状態について、報告してほしいと依頼されてるんだ」

「グループから? どうして?」

「客観的に見た状況がほしいと言ってた」

「客観的?」


「お前自身が気付かない変化を見てほしいと言われてるんだ。グループにとって、お前はかなり大事な存在らしいな」

「そんなことない。他のキラだったメンバーも同じ対応だよ」

「……そうかもしれないな」


「……どうして、そんなふうに思うの?」

「今は気にするな」

「気になる」


「……余計なこと言ったな」しまった、という顔をするので「どうして? そう思う理由があるでしょう?」

「では俺からも。なぜ気になる?」

「エッ?」


「なぜグループがお前を大事にしてると言われて、理由を知りたがるんだ? さっきお前が言ったとおり、キラだったメンバーが同じ対応されているのであれば、それで納得するだろう? それでも俺に理由を聞くからには、何か要因があるはず。それは何だ?」


「あ……それは……その……」

「お前がグループから目を掛けられている理由があるだろう?」

「そんなのない!」

「……お前はウソを吐くのが下手だからな」


「……そんなことないからね」

「まあ、お前に何かしらの重要な事情があることはわかってる」

「確かに、ショウに言えないことがいくつもある」

「だろうな」


「なんで聞かないの?」

「聞いたら答えてくれるのか?」

「質問の内容による」

「そう言うと思ったよ」


 話している間も、ショウの手はキーを叩き続けている。


「なんで重要な事情だと思うの?」

「今はいいじゃないか。それより、グループへ報告したなら、横になってろ」

「気になる」


「……お前、俺に似てきたな」

「……似てない」

「わからないことは、納得するまで追及する」

「……追及され続けてたから、仕返しする」

「なるほど」手を止めると真っ直ぐラルを見る。


「……何?」

「この大陸に出発する前、古城にいたとき、アルバートといろいろ話したことは言ったな?」

「彼が何か話したの?」

「具体的な話はなかったが、彼の行動と言動に興味を持った」

「どういう意味?」


「この大陸へ出発した朝、列車に乗った俺にこう言ったんだ。「絶対彼女を守ってくれ。必ず連れて帰ると約束してくれと。そして、僕も一緒に行きたかったと言った」

「……アルバート……」


「お前は、シルバーフェニックス族にとって、重要なものを持ってるか、重要な何かを担ってるんだろう?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ