22-2 解決しない問題
ラルは部屋に入るとPCをテーブルに置いて、椅子に座った。
「横になってろと言っただろう」
「今回の事をグループに報告しないといけないから」
「ああ、そうだな。ついでに、薬の飲み分けで元に戻ったと報告してきたメンバーに、同じことが起きたかも聞いたほうがいい」
「ああ、そうだね」PCの電源を入れると、メールを作成する。
ショウは一旦リビングへ戻り、自分のPCを持ってくるとラルの向かいに座った。
「グループに連絡したら、横になってゆっくりしてろよ」
「……うん」ショウが忙しくキーを叩いているので「なにしてるの?」
「ン? グループにお前の症状を報告してるんだ」
「それは、私が報告してるよ」
「俺から見た状態について、報告してほしいと依頼されてるんだ」
「グループから? どうして?」
「客観的に見た状況がほしいと言ってた」
「客観的?」
「お前自身が気付かない変化を見てほしいと言われてるんだ。グループにとって、お前はかなり大事な存在らしいな」
「そんなことない。他のキラだったメンバーも同じ対応だよ」
「……そうかもしれないな」
「……どうして、そんなふうに思うの?」
「今は気にするな」
「気になる」
「……余計なこと言ったな」しまった、という顔をするので「どうして? そう思う理由があるでしょう?」
「では俺からも。なぜ気になる?」
「エッ?」
「なぜグループがお前を大事にしてると言われて、理由を知りたがるんだ? さっきお前が言ったとおり、キラだったメンバーが同じ対応されているのであれば、それで納得するだろう? それでも俺に理由を聞くからには、何か要因があるはず。それは何だ?」
「あ……それは……その……」
「お前がグループから目を掛けられている理由があるだろう?」
「そんなのない!」
「……お前はウソを吐くのが下手だからな」
「……そんなことないからね」
「まあ、お前に何かしらの重要な事情があることはわかってる」
「確かに、ショウに言えないことがいくつもある」
「だろうな」
「なんで聞かないの?」
「聞いたら答えてくれるのか?」
「質問の内容による」
「そう言うと思ったよ」
話している間も、ショウの手はキーを叩き続けている。
「なんで重要な事情だと思うの?」
「今はいいじゃないか。それより、グループへ報告したなら、横になってろ」
「気になる」
「……お前、俺に似てきたな」
「……似てない」
「わからないことは、納得するまで追及する」
「……追及され続けてたから、仕返しする」
「なるほど」手を止めると真っ直ぐラルを見る。
「……何?」
「この大陸に出発する前、古城にいたとき、アルバートといろいろ話したことは言ったな?」
「彼が何か話したの?」
「具体的な話はなかったが、彼の行動と言動に興味を持った」
「どういう意味?」
「この大陸へ出発した朝、列車に乗った俺にこう言ったんだ。「絶対彼女を守ってくれ。必ず連れて帰ると約束してくれと。そして、僕も一緒に行きたかったと言った」
「……アルバート……」
「お前は、シルバーフェニックス族にとって、重要なものを持ってるか、重要な何かを担ってるんだろう?」




