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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第五章 謎の組織
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21-2 忍び寄る破壊の前兆

 

「これから行く組織は気付いてるのかな?」

「空間の歪みにか?」

「人間にはまだわからないと思うけど、何か異変の前兆みたいなもの」

「どうだろうな。出発時にそれとなく探ってみるか」


「それで、ショウのほうは返信が来たの?」

「ああ、来てるな。俺はPFSの情報部に、この大陸一帯の気象状況の変動を調べてもらうよう依頼したんだが、大した変化はないらしい。ただ、ここのところ雨量が例年と比べてかなり少ないそうだ」


「雨量が少ない……」

「何か思い当たることがあるのか?」

「さっき、風が外へ行かないで中で回ってるって言ったでしょう?」

「ああ」

「風が動かないから雨雲が移動することができなくて、雨が少ないんだと思う」


「ああ、なるほど。理屈は通るな。これが空間の歪みからくる現象だとしたら、一層、この大陸は雨が降らなくなるということか」

「雨が降らないと大変なことになる」

「そうだな。行く末は死の大陸だ」


「いえ。私たちの王国を持ってこようとしてるのなら、何か計画があって、それで空間の歪みを作ってる可能性がある」


「そうだった。王国をこの大陸へ持ってくるという話は、グループからの情報だったな」

「そう。予備知識として、可能性があるからと書いてあった」

「ニュースソースはどこからか、書いてなかったのか?」


「情報源の確認が取れてないみたいで、そこまで書いてなかった」

「そうか。そういえば、この事はジッとも知ってた。たぶん、ジットの知り合いという組織のボスも、この事を知ってるだろう」


「この土地の領主の元で狩り人の指揮を取ってたときに、部下だった人物からの情報だったんでしょうね」

「そう考えるのが妥当だろうな」

「やっぱり、例の組織に潜り込む必要があるね」

「そうだな」


「そうなると、やっぱりキラの性格にしないといけない」

「俺がいるんだ。そんなことしなくていい」

「ボロが出たら任務を遂行できない。失敗はできないんだから」

「それはそうだが、そこまでする必要ないだろう? 組織は一応、敵じゃないんだから」


「……人間は敵だよ」

「……ラル」

「前よりは考え方が変わったけど、油断したらいけない」

「……そうだな」


「前のように、途中で催眠が解けないようにしないと」

「そういえば、前はどこでキラの自己催眠が解けたんだ?」

「それは……」


「ああ、言わなくていい。ジュエリーハウスで、ダークルーラの攻撃を受けたときだろう?」

「……」

「どのくらいの大きさだったのか見てないが、等身大くらいあったんだろう?」

「……うん」


「……ケッドマンの屋敷にも、等身大のダークルーラが数枚あった。ミランドがいてくれてよかったよ。そうだ、今度も彼女にサポートしてもらえばいいじゃないか。そうすれば、わざわざ自己催眠を掛ける必要ない」


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