18-1 できつつある新たな道
次の日の晩、またグロサリーストアのリビングに一同が顔を揃えた。
夕方、ジットから電話があって、招集が掛かったということで急いで食事をとり、ラルはまた額にチップを付けるとショウのバンダナを捲き、ジットと合流して向かった。
全員の顔が揃うと「突然だが、支部へ行くことは取りやめになった」開口一番にスタンが言うので「なぜだね?」向かいに座っているジットが聞くと「あなたに会いたいとヘッドから連絡があったからです。そういうことなので、本部へ案内します」
「俺たちもいいのか?」ジットの隣のショウが確認すると「君たちも一緒に、とのことだ」
「そうか。で、出発はいつだね?」
「まだやることがあるので、三日後を予定してる」
「三日後か」
「動けるか?」スタンがラルを見ると「大分良くなってきたから、大丈夫よ」
「この村の人達はどうされるんですか?」と聞くテッドに「私たち以外の村人はここに残る」ジットが答えると「申し訳ないね。俺たちには子供がいるんでね」話に入るグロサリーストアの主人に「君たちにはずいぶんと世話になったね」
「一緒に行けなくてすみません」
「家族を大事にしてくれ」
「……はい」
「では、三日後のお昼までに出発できるよう、準備してくれ」スタンが締めくくる。
帰り道「三日後出発だから、支度は急ぐことないだろう?」ジットが聞いてくるので「大方の荷物はまとめてあるので、そんなに時間はかかりません」ショウが答えると「そうか」
「この前、あなたが言ったとおり、組織のトップはあなたの知り合いらしいですね」
「会うまでは断定できないよ」
「まあ、そうですね」
「本部まで長い道のりらしいが、体調は大丈夫かね?」ラルを見るので「はい。良くなってきましたので」
「そうか。しかし、無理はしないようにな。この大陸の暑さは半端じゃないからね」
「はい。気を付けます」
ジットと別れて家に入ると、早速、ラルが自室で身の回りのものを片付けはじめるので「まだ時間はあるんだ。今やらなくていいだろう。ゆっくりしてろ」
「でも」
「急いでやるほど荷物はないだろう」
「……そうだけど……」
「お茶を入れてくるから、横になってろ」
部屋から出ていくと、しばらくしてティーセットを持って戻ってくる。
「ちゃんと寝てるな」
「迷惑かけられないから」
「俺のことは気にするなと言ってるだろう」
「でも……」
「そうだ。さっきメールをチェックしたら、グループから、急に姿が元に戻ったことについての返信が来てた」
「なんて書いてあったの?」
「同じ事例がないかメンバーに確認したところ、数件、同じことが起こってることがわかったらしい。
そこで、共通することがあるか調べるので、お前のデータを送ってほしいそうだ。
メールに質問書が添付されてた」
ラルにノートPCを渡し「それと、薬の組み合わせで一時的に姿を変化させることができるそうだ。以前、同じことが起きた前例者が発見したらしい。それもメールに書いてあるから、試せるか確認して、大丈夫であれば飲んでみろ」
「わかった」PCを開くとメールをチェックする。




