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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第五章 謎の組織
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16-3 ジルタニス

 

「これで、彼らがいくつかの拠点に分かれて行動してることがわかる」

「大規模で動いてるみたいですね。先ほども支部と言ってましたから」

「もしかしたら、中心となって動いてる人物は、私が知ってる男かもしれないんだよ」


「心当たりがあるんですか! どんな人物なんですか?」

「一緒に狩り人を指揮してた男だ」

「何だって? では、指揮官の一人だったんですか?」

「そうだ。しかし、裏で彼らを逃がしてたんだよ」

「逃がしてた?」


「そうだ。ある日、その事が領主にバレてね。しかし、彼は上手く逃げおおせたんだよ」

「……手引きをしたのは、あなたなんじゃないですか?」

「……フフッ」


「やっぱり。なるほど、見えてきましたよ。その男とあなたの間には約束があったんじゃないですか? あとから抜け出したあなたを迎えにいく、というところかな? もし組織のトップがあなたの言う知り合いなら、きっと名乗り出てくれる」


「……そうだ」


「そういうことだったんですか。合図は「罪滅ぼしのために仲間に入れてくれ」 辺りかな?」

「君はけっこう感働きがいいな」感心するジット。「だから組織に属さなくてもやっていけるのか」

「それはちょっと褒め過ぎですよ。「闇のジルタニス」ほど世渡りは上手ではないので」

「君も褒め過ぎだよ。私はそれほど器用ではないからね」

「そうですか?」


「これで、私がウソを吐いてないとわかってくれるだろう?」と聞かれて答えないと「まあいい。いずれわかってもらえることだろう」


「おかしなことを言いますね。人を信用させることは得意なんじゃないですか? 元スパイだったあなたには、簡単なことでしょう?」と聞くと答えないので「これも作戦ですか?」


「そう言われても仕方のないことか。今まで多くの人を(だま)してきたからね」

「今の状態では、お互い疑心暗鬼になりますよ」

「そうだね」


「あなただって、俺たちのことは気になるでしょう?」

「いや。君たちのことは信用してるよ」

「なぜですか?」


「人を見る目は(おとろ)えてないよ」ショウを真っ直ぐに見るので「とにかく、この状況が落ち着くまで、これ以上のことは聞きませんよ」

「私に関しての疑問はいつでも聞いてくれ。答えられる範囲内のことであれば答えるよ」


「ずいぶんと信用されてるんですね」

「信用してもらうには、自分から話さなければけないことを知ってるからね」

「なぜ、そこまでして俺たちの信用を得ようとするんですか?」

「……今の私は、一人だからだよ」


「スパイをやってたときは一人じゃなかったんですか?」

「一人だったよ」

「では、なぜ今になって?」


「これからは、情報を取る仕事をやるんじゃないからね。一人ではできないことだ」

「そうですね」

「ああ、長居をしてしまったね。これで失礼するよ」席を立つので「クッキーご馳走さまでした。奥さんにお礼を言っといてください」


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