15-4 これからの行動に付いて
「で、これからどうするんだ?」スタンに聞くと「最初に言ったが、すぐに移動することはできない。もう少し情報を確認してからになる」
「私たちのことはもういいのかね?」確認するジットに「今回は。これから今日わかったことを本部に連絡するので、返事がきたら連絡する」
「できれば一週間、待ってくれないか?」と言うショウに「なぜでしょうか?」聞き返すテッド。
「相棒が体調を崩してるんだ」ラルを見ると「今の彼女に長距離移動は無理だ。もう少し、休養が必要だろう」ジットも心配そうな顔をして「隣の領主の屋敷に潜り込んでいたとき、何かあったのかね?」と聞いてくるので「いえ。ここに来る前、調子を崩してしまって、回復してから来たんですが、病み上がりだったので」
「それで潜り込んだのかね?」
「まあ、いろいろと事情がありまして」
「ふむ……まあ、これ以上は聞かないでおこうか」
「こっちもいろいろ確認することがあるし、準備に時間が掛かる。どのくらいここに留まるかわからないが、なるべく早めに動けるようにしといてくれ」資料をまとめるスタン。
その後、本部から連絡が来しだい声を掛けるということで解散となり、ジットと一緒にグロサリーストアから出て家に戻ると、再度、盗聴器類が取り付けられていないか調べる。
「今のところ大丈夫だが、組織の彼らが何をしてくるかわからないから、しばらくは用心しよう」
ラルの部屋にティーセットを持ってきて、テーブルに座るショウがエアコンを点けると「とにかく時間ができた。出発まで、できるだけ体力を戻すことに専念しよう」
「何が原因なのか判れば対応できるのに」向かいに座るラルが額のチップを取ると元の姿に戻るので、フードをかぶる。
「焦るな。今は体力を戻すことだけ考えろ。他のことは俺が対応する」カップにお茶を入れて渡すと「ショウにばかり、負担を掛けられない」
「その身体で何ができるんだ。体力を戻すことが先だろう?」
すると、ラルが紙に文字を書いて渡すので「これはなんだ?」
「グループのサイトに入るためのIDとパスワード」
「……いいのか?」
「……グループの許可は取ってある」と言ってお茶を飲みはじめ「私にもしものことがあったら、グループと連絡が取れなくなるから」
「お前にもしものことなんかない。そんなこと気にするな」紙をポケットに入れ「しばらくは俺がグループとやり取りするから、お前は何も心配せず、休んでろ」
黙ってお茶を飲むラルに「必要な情報はちゃんと話すから」と言うと小さく頷く。




