13-3 絆からわかるお互いの距離
三日ぶりの外。
「眩しい」目を細め、しばらくの間光に目を慣らすと「わあ、きれい」庭の花壇に咲く花を見て「こんなに咲いてたなんて、来たときは気付かなかった」
「ここに来たときは夕方だったから色が見えなかったし、周りを見る余裕がなかったからな」
ゆっくりとショウに支えられながら玄関前の階段をおりて、庭に置いてある木製の椅子に座る。
「本当に、ここは花でいっぱいなのね」
「出てきてよかっただろう?」
「ええ」笑顔を返すと、ショウも嬉しそうに笑う。
気持ちいい風が花の香りを運んでくる。
「みんな幸せそうね。ここが敵地だなんて思えない」
その時「ショウさん?」と声を掛けられたので振り向くと、隣の奥さんがバスケットを持って立っていて「おはようございます。入ってもよろしいかしら?」
「はい、どうぞ」
奥さんはキラが座っているテーブルのところへ来ると「初めまして。ご気分はいかがですか?」
「こちらこそ初めまして。いつもおいしい食事をありがとうございます」
「どう致しまして」
「どうぞ、座ってください」隣の席を勧めると「いえ、今日は差し入れに来ただけなんですよ」バスケットをテーブルに置くので「この前いただいたクッキー、おいしかったです。ご馳走さまでした」キラがお礼を言うと「それは良かったわ。今日はケーキを作ったのよ」
「そうなんですか。ありがとうございます」
「では、今日はこれで」
ショウが道路まで出て奥さんを見送り、戻ってくると「お茶の支度をしてくる。ここで食べよう」家の中へ入っていく。
ショウがトレーを持って戻ってくると、キラの横に小さな竜巻ができていて、ショウが近づくと消えてしまった。
「キラ、いや、もうそう呼べないから、ラルでいいか?」
「ああ、そうね」
「さっきの小さな竜巻みたいのはなんだ?」
「イータル ヴェンティ、風の精霊よ。例の組織のことを聞いてたの」
「何かわかったのか?」
「少しだけ」
「どんなことだ?」
「一年くらい前から活動しはじめたらしい。でも、どのくらいの規模なのかわからないって。どうやら地下に潜伏しているみたい」
「地下ね」
「組織のメンバーは全員人間らしいって」
「PFSではないらしい。昨日コンピュータを調べたが、この大陸で活動はしてなかった」
「そう、グループも把握してなかった」
「どこら辺にいるかわからないか?」紅茶を入れたカップを渡すと「組織員が何名か近くに来てるみたい。ケッドマンの屋敷を調べにきたんでしょうね」
「接触できる方法はないか?」
「もう手を打った」
「何だって?」
「イータル ヴェンティに頼んだの。この村に来るように仕向けてって」
「どうやって?」
「それは彼女たちに任せたから」
「では、ここにいれば会えるんだな?」
「そうね」
「頼もしい友達だな」
「……」
「そうしたら、それまでに体力を少しでも戻さないと」




