13-1 絆からわかるお互いの距離
食後、あと片付けを済まし、お茶を入れて部屋に入ると、キラはいつもの薬をポーチから取り出して飲んでいた。
ショウは向かいに座ると「じゃあ、心の中にある、人間に対する不満を話せ」
「エッ?」
「不満に思ってることを思い付くまま言ってみろ」
「なんで、そんなこと、言うの?」
「長い間、心の中に不満をため込んでたから、精神のバランスが崩れたんじゃないか?」
「……」
「我慢しきれなくて外に出てきてしまったから、こういう状態になったんだと思う」
「……」
「ここで全部吐き出せ」
「そんなこと、急に言われても……ショウが悪いんじゃ、ないし……」
「気にすることない」
「でも……」
「そんなんじゃ、いつまでたっても治らないぞ」
「その事が、原因だとは、限らないでしょう?」
「原因がわからないかぎり、可能性があることを一つずつ潰していくしかないだろう?」
「そう、だけど……」
「なんだよ」
「……なんで、優しくしてくれるの?」
「ハァ? 相棒が苦しんでるのに、知らん顔できるか?」
「相棒だから、心配してくれるの?」
「何が言いたい」
「昨日、なんで私のこと心配してくれるのって聞いたら、なぜだと思うって言ったでしょう? 相棒だからなんだ」
「それを聞いてどうするんだ」
「答えてくれなかったから、確認したかっただけ」
「……そうか」お茶を入れてカップを置くと、自分の分を入れて飲みはじめる。
しばらくして「王国にいたとき、仲のよかった友達とは、連絡取ってるのか?」と聞くと「連絡を取り合ってはいけないことになってるから」
「居場所を悟られないように、ということか?」
「バレたら、命取りだから」
「通信を逆探すれば、相手の居所は簡単にわかるからな」
キラは温めの紅茶を飲み、少し間をあけると「キラのメンバーとして出発する日、絶対にもう一度会おうって約束した」
「友達全員、メンバーになったのか?」
「……うん」
「どうやってグループはできたんだ?」
「人間の世界で仲間が捕まりだしたと報告がきたとき、すぐに招集が掛けられた」
「招集?」
「救出グループを結成することになって、そのメンバーを選抜するために、ランク分けが行われたの」
「それは、王国にいた全員が対象になったのか?」
「いいえ。年齢制限がされた。当然でしょう? 高齢者や子供には無理だもの」
「そうだな」
「その結果、私たちは全員メンバーに選ばれたの」
「そうか……恋人とかいなかったのか?」
「エッ?」
「付き合ってる奴はいなかったのか?」
「……憧れてる方は、いたわ」
「ヘェ。どんな奴?」
「……成績優秀でスポーツ万能。女の子の憧れの的だった。生徒会役員でもないのにいつも役員室に来て、いろいろ意見を出してくれた。なんで役員にならないのって聞いたら、堅苦しいのは性に合わないって」
「まあ、そういう奴はいるな。で。告白しなかったのか?」
「告白って、憧れてるって言ったでしょう」
「……そいつは今、どうしてるかわからないのか?」
「……何もわからない……」
「そうか……」




