表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第五章 謎の組織
194/727

13-1 絆からわかるお互いの距離

 

  食後、あと片付けを済まし、お茶を入れて部屋に入ると、キラはいつもの薬をポーチから取り出して飲んでいた。


 ショウは向かいに座ると「じゃあ、心の中にある、人間に対する不満を話せ」

「エッ?」

「不満に思ってることを思い付くまま言ってみろ」


「なんで、そんなこと、言うの?」

「長い間、心の中に不満をため込んでたから、精神のバランスが崩れたんじゃないか?」

「……」

「我慢しきれなくて外に出てきてしまったから、こういう状態になったんだと思う」

「……」

「ここで全部吐き出せ」


「そんなこと、急に言われても……ショウが悪いんじゃ、ないし……」

「気にすることない」

「でも……」

「そんなんじゃ、いつまでたっても治らないぞ」


「その事が、原因だとは、限らないでしょう?」

「原因がわからないかぎり、可能性があることを一つずつ潰していくしかないだろう?」

「そう、だけど……」

「なんだよ」

「……なんで、優しくしてくれるの?」


「ハァ? 相棒が苦しんでるのに、知らん顔できるか?」

「相棒だから、心配してくれるの?」

「何が言いたい」


「昨日、なんで私のこと心配してくれるのって聞いたら、なぜだと思うって言ったでしょう? 相棒だからなんだ」

「それを聞いてどうするんだ」

「答えてくれなかったから、確認したかっただけ」

「……そうか」お茶を入れてカップを置くと、自分の分を入れて飲みはじめる。


 しばらくして「王国にいたとき、仲のよかった友達とは、連絡取ってるのか?」と聞くと「連絡を取り合ってはいけないことになってるから」


「居場所を悟られないように、ということか?」

「バレたら、命取りだから」

「通信を逆探すれば、相手の居所は簡単にわかるからな」


 キラは(ぬる)めの紅茶を飲み、少し間をあけると「キラのメンバーとして出発する日、絶対にもう一度会おうって約束した」

「友達全員、メンバーになったのか?」

「……うん」


「どうやってグループはできたんだ?」

「人間の世界で仲間が捕まりだしたと報告がきたとき、すぐに招集が掛けられた」

「招集?」


「救出グループを結成することになって、そのメンバーを選抜するために、ランク分けが行われたの」

「それは、王国にいた全員が対象になったのか?」

「いいえ。年齢制限がされた。当然でしょう? 高齢者や子供には無理だもの」

「そうだな」


「その結果、私たちは全員メンバーに選ばれたの」

「そうか……恋人とかいなかったのか?」

「エッ?」


「付き合ってる奴はいなかったのか?」

「……憧れてる方は、いたわ」

「ヘェ。どんな奴?」


「……成績優秀でスポーツ万能。女の子の憧れの的だった。生徒会役員でもないのにいつも役員室に来て、いろいろ意見を出してくれた。なんで役員にならないのって聞いたら、堅苦しいのは性に合わないって」


「まあ、そういう奴はいるな。で。告白しなかったのか?」

「告白って、憧れてるって言ったでしょう」

「……そいつは今、どうしてるかわからないのか?」

「……何もわからない……」

「そうか……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ