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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第五章 謎の組織
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12-2 不和からわかる絆

 

「お披露目パーティの件で、休憩室で俺だけ別任務の説明を聞くとき、パフィオたちが食堂から出ていくのを確認するために、ダッケンが一時、席を外したときがあった。

 その時、ソファに掛けてあった奴の上着の内ポケットに入ってた書類を見たんだ。

 キラと名乗る人物をマークしろと書いてあった。

 だから、名乗らないほうがいい」


「……ウソ」

「他にどんな事がバレてるのかわからないから、この先、一人で行ったら危険だと言ったんだ」

「……そんな」座り込むので「大丈夫か?」隣にしゃがむと「なんで、黙ってたの?」


「言う機会がなかった」

「いじ、わる」

「お前も意地悪だ」

「ごめん、なさい」


「さっき俺が言ったことは忘れろ」キラを抱き上げるとベッドへ運び、薬が入ったポーチを持ってくるとコップに水を入れ「先にテーブルを片付けてくる」と言って部屋からでる。


 片付け終わって再び部屋に入ると、キラは少し苦しそうに、ベッド横の壁に寄り掛かっていた。


「横になってなきゃダメだろう」

「……今は、このほうが、楽……」

「そうか。辛くなったら言えよ」


 ショウは自室からパソコンを持ってくるとベッド横の机に置き、電気スタンドの明かりを点けると部屋の電気を消してパソコンの電源を入れ「(まぶ)しくないか?」と聞くと頷くので「ここにいるから、何かあったら声を掛けろよ」


 しばらくはキーを叩いて調べものをしていたが、キラが動き出したので手をとめ「どうした?」

「横に、なる」と言うので手伝って寝かせ「苦しくないか?」ブランケットを掛けると「……大丈夫」

「そうか。お休み」フードの上から頭を撫でて席に戻ると、再びキーを叩く。



 翌朝、朝食の支度をしてキラの部屋のドアを叩くと、少ししてドアが開き、キラが顔を出すが、姿は戻っていなかった。


「飯を運んでおくから、バスタオルをかぶって顔洗ってこい」


 キッチンへ戻って朝食を運んでくるとバスタオルをかぶったキラが戻ってきたが、具合が前よりも悪くなっていた。


(昨日、あんな話をするんじゃなかった)

「どうした、座れ」

 ノロノロと歩いてくると、向かいに座る。


「昨日のことは気にするな」顔を上げるキラに「俺は、お前のことを、高飛車で計算高い女とも、勝気な性格だとも思ってない」

「……ごめん、なさい」

「気にするなと言ってんだろう」

「……」


「昨日は悪いこと言ったと思ってる。謝るのは俺のほうだ」

「……」

「もう泣くな。飯が食えなくなるだろう。薬が飲めなくなるじゃないか」そう言われてバスタオルで涙を拭くと「さあ、食っちまおう」パンを取ると「ほら、食べろ」


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