12-1 不和からわかる絆
「もう少し中身があると思ってたんだが、買いかぶり過ぎてたらしいな」
「そうよ。買いかぶり過ぎてたのよ。思ってたとおりじゃなくて悪かったわね。外面だけ大きくて中身がないとわかったんだから、これで見切りが付いたでしょう? こんな女なんかホッといて、さっさと出ていけば」
「こんな時間にか?」
「じゃあ私が出ていく!」席を立ち、外へ出ていこうとするので「そんな姿で外へ出る気か!」腕をつかんで止めると「離してよ! どうしようと私の勝手でしょう!」
「その姿で外へ出たらどうなるかわかってんだろう! ここは敵地のど真ん中なんだぞ!」
「わかってるわよ!」
「奴らに捕まってもいいのか!」
「私がどうなろうと関係ないでしょう! 離してよ!」
「キラ」
「離してよ! ショウなんか大嫌い!」
「さっき言ったことはウソだ」
「離して!」
「ごめん、言い過ぎた」
「離せ!」
「キラ!」
「離せ!」
「悪かった!」
「はな、は、あ……あ……」突然、座り込んで苦しそうに息をしはじめるので「どうした?大丈夫か? 過呼吸になりかけてる。ゆっくり呼吸するんだ」
「触ら、ない、で……」
「そんなこと言ってる場合じゃないだろう。息を吐いて。吐ききるんだ。ゆっくり吸って」
「はあ……はあ……」
「吐いて。フー、フー」
「フー……フ、フー……」
「ゆっくりな」キラの背中を擦りながら呼吸を合わせていくと、徐々に落ち着いてくる。
「笑って、いいよ。無様な、姿、でしょう? あんなに、エバって、たのに、滑稽、でしょう?」
「さっきのことは謝る。お前が精神的に参ってるのを知ってながら、ひどいことを言ったと思ってる」ゆっくり息をするキラの背中を擦りながら「お前がわざと俺を怒らせて追い返そうとするから、少し言い返してやろうと思っただけだ」
「ショウ、なんか、大嫌い……」
「さっき言ったことは本心じゃない」
「あっち、行け……」
「本当にごめん。反省してるよ」
「あっち、行け……」
「キラ」
「……あっち、行け」
「お前を傷つける気はなかったんだ」
「触ら、ないで」ヨロヨロと立ち上がるので「無茶するな」
「私は、キラとして、この先、任務を、遂行、しないと、いけない……」
「なら、これから先、キラと名乗らないほうがいい」
「そんな、こと、言われる、覚え、ない」
「これは忠告だ。キラと名乗るな」
「……な、なんで?」
「グループの救出メンバーは、全員キラと名乗ってるんだろう?」
「だ、から?」
「敵はそのことを知ってる」
「なんで、そんなこと、知ってるの」
「ダッケンが持ってた報告書に書いてあった」
「報告書?」




