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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第一章 保護活動
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12 待機

 

 キッチンへ戻る途中、メイド頭が「皆さんが、あんなに楽しそうにお夕飯を召し上がるのを見たのは初めてだわ」嬉しそうに話すので「いつもは違うんですか?」意外に思って聞き返すと「いつもは一言も話をされず、食事も半分くらいは残されていたわ」


「……そうなんですか」

「でも、最後に楽しいお食事を差し上げられて、良かったわ」


「最後なんですか?」

「今夜、他の場所へ移動されるのよ」


「どうしてですか? ここは安全なところですよね?」

「私にも詳しいことはわからないわ。ああ、この事は他の人に話さないでね。内密なことですから」

「ハイ、わかりました」


 一行はキッチンへ戻って後片付けをはじめ、それが終わると、ショウと約束した時間になっていた。


「ご苦労様でした。お休憩を取っていいわよ」

 メイド頭がタイミングよく声を掛けてくるので「では、お先にお休憩をいただきます」


 キッチンから出ると廊下を戻り、途中の裏庭に面した窓の鍵を開けると、従業員用の更衣室へ行って着替え、ショウと待ち合わせている場所へ急ぐ。


 彼は先に来ていて、キラの姿を見付けると手を振ってきた。


「お疲れ。どうだった?」

「準備万端よ。そっちは?」


「見付けたぜ」内ポケットから数枚の紙を取りだし「データはこのチップに取ってある。それはコピーだ。それぞれの行き先と、一人当たりの金額が書いてある」受け取ると内容に目をとおし「やっぱり、このパーティに便乗して裏取引するつもりなのね」


「ああ。で、そっちは?」

「もちろん手配済み」ポケットから紙ナプキンを取りだして見せる。

 そこにはこう書かれていた。


『助けに来てくれてありがとう』


「ここまでは作戦どおりだな」

「ええ」


「しかし、あんなに用心深い彼らをどうやって信用させたんだ? そういやあ、エレナやアンジュもすぐに信用したな」探るような目付きをするので「タネはこれよ」イヤリングを指す。


「なんでそんなもんが関係するんだ?」


「私が助けたシルバーフェニックスの彼女がくれたのよ。これを見せれば味方だと思ってくれるって」

「ヘェ、そんな便利なものを持ってるのか」驚きの目でイヤリングを見る。


「どういう仕組みになってるのかわからないけど、助かってるわ」

「それで今日、来るのが遅くなったのか」


「そう。これがないと、今日の作戦がパアになっちゃうから、焦ったわ」

「気を付けろよ。盗まれでもしたら大変だからな」


「わかってる。誰にも言わないでよ」

「言うかよ。とりあえず、あとは彼らが来るのを待つだけか」

「そうね」


 場所を彼らとの待ち合わせの、屋敷横の中庭から続いている小さな噴水のところへ移動する。


「見て、アルドよ」


 中庭の中心にいる上機嫌の彼が、招待客たちに愛想を振りまいている。


「余裕のある面が、この後どう変わるか見ものだな」

「あと少しの至福の時を味わいなさいって言いたいわね」


 二人は、目的の彼らが出てくるまでパーティの雰囲気を楽しんだ。


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