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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第五章 謎の組織
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8 お裾分けのシチュー


 家に入ってキラの部屋を覗くと、気配を感じたらしく目を覚ました。


「ごめん。起こすつもりはなかったんだ」ベッド脇へいって椅子に座ると「気分はどうだ?」

「……ン、少し、楽になった」


「今、隣の奥さんからクッキーをもらったんだ。食べるか? 焼き立てだぞ」

「……うん」

「じゃあ、お茶を入れてくる」


 部屋から出てキッチンへ行くと、バスタオルを頭からかぶったキラが出てきて、洗面所へ向かう。

「キラ。バスタオルを頭からかぶるなら、通る前に声を掛けてくれ。ビックリするだろう」

「……通る」

「……わかった」


 ティーセットを持って部屋に行くと戻ってきたキラが向かいに座り、テーブルに置いてあるノートPCの電源を入れる。


「グループに、元の姿に戻ってしまったことを連絡したんだろう? 返信きたか?」

「来てる。こんな事例は今までなかったから、原因がわからないって」

「そうか。アルバートには連絡取れないか?」

「心配かけたくないから、連絡してない」


「まあ、ケアの仕事を始めたばかりだと言ってたから、変化した原因がわからないかもしれないな。とにかく、体調を戻すことに専念しよう」

「でも、ずっと家に閉じこもってたら、怪しまれる」


「あのチップは、連続して使わなければ大丈夫なんだろう? だったら、数日おきに付けて、何回か外に出ればいいだろう。それで顔を見せれば、怪しまれることはない」


「……そうだね」

「外は花が満開できれいだぞ。明日、外へ出てみるといい」

「……うん」


 日が暮れてきたころ、グロサリーストアの奥さんが大きな鍋を持ってやってきた。


「こんばんは。野菜シチューがおいしくできたよ」

「ありがとうございます」対応に出たショウが鍋を受け取ると「お連れさんの具合はどう?」

「お陰さまで、良くなってきてます」


「それは良かった。元気になったらお店に遊びにきてよ」

「はい」

「お鍋は明日、取りに来るから」と言って帰っていく。


 ダイニングテーブルに用意してある鍋敷きに置くと「誰がきたの?」フードをかぶったキラが、部屋のドアを開けて聞いてくる。


「さっき話したグロサリーストアの奥さんが、野菜シチューを作って持ってきてくれたんだよ」蓋を取ると「クリームシチューか。すごい具だくさんだな。おいしそうだ」

 匂いにつられてキラがリビングへ来るので「そこの皿に入れてくれ。俺はパンを焼いて持ってくる」


 キラがシチューをよそっている間、ショウはトースターで焼いたパンを持ってくると、向かい合って席に座り「食べられるだけ食べればいいから。無理するな」キラは頷くと、まだ熱いパンを取ってバターを塗り、食べはじめる。


 シチューを食べるショウが「自慢するだけのことはあるな。うますぎ」おいしそうに食べると「ああ、肉類は入れないように言ってあるから、食べても大丈夫だ」

 するとキラも一口食べ「すごく生姜が効いてる」

「これは食欲出るな」


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