表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第五章 謎の組織
181/715

7-1 情報収集のための散策

 

 ショウは戸締りを確認してバスケットを持つと、隣のお爺さんの家を訪ねた。


「まあまあ、わざわざすみません」呼び鈴を鳴らすと、奥さんが慌てて出てくる。


「おいしい朝食をありがとうございました」バスケットを返すと「お嬢さんの具合はいかがですか?」と聞かれ「ちょっと無理したみたいで、薬を飲んだので落ち着いてます。しばらくご厄介になります」


「そうですか。それでは、お元気になられたら、一度お食事にいらしてください。若い方は大歓迎よ」

「はい。その時はお邪魔します」

「せっかくいらしたんですから、お茶でもいかがですか?」


「でも……」

「差し支えなければどうぞ」

「では、ちょっとお邪魔します」


 奥さんの後から家に入り、奥のリビングへいくと「きれいな部屋ですね。花でいっぱいだ」

 窓から見える庭には、色鮮やかな花がたくさん咲いているのが見える。


「いつも花に囲まれていようというのが、この村の意向なんですよ」

「いいですね。落ち着きます」

「さあ、どうぞ」窓の外が見えるソファに案内され、座ると外の景色が絵画のように見える。


 奥さんは隣のキッチンからティーセットを持ってくると、この土地で飲まれているらしいお茶を入れてくれた。

 甘い香りがする赤っぽいお茶。


「いただきます」一口飲むと「香りは甘いのにサッパリしてますね」

「お口に合うかしら? この大陸の内陸部で飲まれてるお茶なのよ」

「そうなんですか。朝に飲むと目が覚めますね」


「そういえば、まだお名前を伺ってませんでしたね。私はアメリアと言います」

「ショウです。連れは、キ、いえ、ラルと言います」


「主人の話では旅をされているとのことですが、なんでまたこの大陸に来られたんですか?」

「実は僕たちルポライターでして、各地を取材して雑誌に記事を載せてるんですよ。いろんな土地を周ってたんですが、残ったのがこの大陸で。今回、一気に周ろうと乗り込んできたんです」


「そうなんですか。若い人達には可能性がたくさんあっていいですね。でも、よくこの大陸に入れましたね。特にお嬢さんは」

「ちょっと苦労しましたけど、何とか潜り込めました」

「あまりお嬢さんに無理なことはさせないでくださいね。ただでさえ、ここは他の所と違いますから」

「わかってます」


「できれは、すぐにでもこの大陸から出たほうがいいですよ」

「なぜですか?」

「一昨日も、隣の領主の屋敷で騒動があったみたいです。もともと治安は良くありませんでしたが、最近、この大陸の領主たちが何か始めたみたいなんですよ」

「領主たちが?」


「何を始めたのかわかりませんが、この村もいつ巻き込まれるか……」顔を曇らせるので「奥さんたちは、これからどうされるおつもりなんですか?」

「この年ですからね。今さらよそには行けません。ここで骨を埋めるつもりです」

「……そうですか」


「若い人達は、いつでも出ていける用意をしてますけど、私たちはこのままでいいんです」

「領主たちが何を始めたのか、誰もわからないんですか?」

「詳しくはわかりませんが、なんとかという組織が動いてるとかで……計画が止まっているようなことを聞きました」


「何という組織なんですか?」

「さあ、何だったかしら? その組織の存在が計画を邪魔しているとしか」

「そうですか……」


「あなたたちには関係のないことです。悪いことは言わないわ。早くこの大陸から出なさい」

「はい。お茶、ご馳走さまでした。そろそろ戻ります」

「まあ、長々とお話ししてしまってごめんなさいね。よかったら、またいらしてください」

「はい、では失礼します」お礼を言うと家から出る。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ