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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第五章 謎の組織
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4-2 休息地へ

 

 それから山鳥に付いて丘をいくつか超えたが、まだ村は見えない。

 同じ景色が続く。


 やがて日が暮れて西の空が赤く染まってくると、案内役の山鳥が再び助手席の窓枠にとまり、ピーピーヒョロロロロロと鳴くので「どうした?」ショウが車を停めると「そろそろ帰らないといけないんだって」キラが代弁する。


 ピーピーヒョロォ。

「道なりに行けば着くって」

「そうか。遠いところまでありがとう」


 ピー。

「どういたしましてだって」

 窓枠から飛び立つと、来た道を引き返していく。


「頼もしい知り合いがいるんだな」

「……」

「さあ、急ぐぞ。暗くなる前に村へいこう」



 さらにいくつか丘を越えたところで、荷台にたくさんの草を積んだ一台の馬車が、右側の丘の向こう側からこちらへ向かってくるのが見えた。


「きっと村の人だ。聞いてみよう」


 ショウは道が合流するところまで車を走らせ、馬車が来るのを待っていると車の横で停まり「こんな所でどうしたんだね?」真っ白い髭を生やしたお爺さんが聞いてくる。

「途中でカーナビが故障してしまって、ここがどこら辺なのかわからなくなってしまったんです」


「それは気の毒に」

「近くに村があるようなんですが、お爺さんはその村の人ですか?」

「そうだよ。この先にある村に住んでる」進行方向を指すので「差し支えなければ案内してもらえませんか? 連れが体調を崩してて、早く休ませたいので」


「フム」だるそうにしている助手席のキラを見ると「そちらのお嬢さんは大分疲れてるようだね。この大陸の暑さにバテてしまったのかな? よかろう。後ろから付いてきなさい」

「ありがとうございます!」


 先を行く馬車の後から付いていくと「こんな所で目的の村の人に会うなんて、ついてるな」隣にいるキラに声を掛けると、少し困った顔をしつつ小さく頷く。


 それから二十分くらい走ると、窪地(くぼち)を利用した村が前方に見えてきた。

 「けっこう大きな村だな。村というより町に近い」

 道沿いの電線はこの村のために引いてあるらしく、近くに小さな鉄塔と変電施設が建っている。


 村に入ると夕飯時のせいか、あちこちからおいしそうな匂いが漂っていて「お腹空いた」キラがボソッと呟くので「そうだな。早く宿屋を探そう」


 馬車の後から大通りを進んでいくと、村の西側に大きな森があるせいか、道の両脇にログハウス風の個性的な家が並び、リゾート地のような雰囲気が漂っている。


「ずいぶんとオシャレな村だな」

 大陸の奥地に観光地のような村があると思わなかったので「休憩するにはいい所かもしれないな」ショウは運転しながら、家並みを観察していく。


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