4-2 休息地へ
それから山鳥に付いて丘をいくつか超えたが、まだ村は見えない。
同じ景色が続く。
やがて日が暮れて西の空が赤く染まってくると、案内役の山鳥が再び助手席の窓枠にとまり、ピーピーヒョロロロロロと鳴くので「どうした?」ショウが車を停めると「そろそろ帰らないといけないんだって」キラが代弁する。
ピーピーヒョロォ。
「道なりに行けば着くって」
「そうか。遠いところまでありがとう」
ピー。
「どういたしましてだって」
窓枠から飛び立つと、来た道を引き返していく。
「頼もしい知り合いがいるんだな」
「……」
「さあ、急ぐぞ。暗くなる前に村へいこう」
さらにいくつか丘を越えたところで、荷台にたくさんの草を積んだ一台の馬車が、右側の丘の向こう側からこちらへ向かってくるのが見えた。
「きっと村の人だ。聞いてみよう」
ショウは道が合流するところまで車を走らせ、馬車が来るのを待っていると車の横で停まり「こんな所でどうしたんだね?」真っ白い髭を生やしたお爺さんが聞いてくる。
「途中でカーナビが故障してしまって、ここがどこら辺なのかわからなくなってしまったんです」
「それは気の毒に」
「近くに村があるようなんですが、お爺さんはその村の人ですか?」
「そうだよ。この先にある村に住んでる」進行方向を指すので「差し支えなければ案内してもらえませんか? 連れが体調を崩してて、早く休ませたいので」
「フム」だるそうにしている助手席のキラを見ると「そちらのお嬢さんは大分疲れてるようだね。この大陸の暑さにバテてしまったのかな? よかろう。後ろから付いてきなさい」
「ありがとうございます!」
先を行く馬車の後から付いていくと「こんな所で目的の村の人に会うなんて、ついてるな」隣にいるキラに声を掛けると、少し困った顔をしつつ小さく頷く。
それから二十分くらい走ると、窪地を利用した村が前方に見えてきた。
「けっこう大きな村だな。村というより町に近い」
道沿いの電線はこの村のために引いてあるらしく、近くに小さな鉄塔と変電施設が建っている。
村に入ると夕飯時のせいか、あちこちからおいしそうな匂いが漂っていて「お腹空いた」キラがボソッと呟くので「そうだな。早く宿屋を探そう」
馬車の後から大通りを進んでいくと、村の西側に大きな森があるせいか、道の両脇にログハウス風の個性的な家が並び、リゾート地のような雰囲気が漂っている。
「ずいぶんとオシャレな村だな」
大陸の奥地に観光地のような村があると思わなかったので「休憩するにはいい所かもしれないな」ショウは運転しながら、家並みを観察していく。




