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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第五章 謎の組織
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4-1 休息地へ

 

 翌朝、八時に起きて昨夜頼んだ料理を備えつけのレンジで温め、ベッドに運んで食べると「バッグ、取って」窓際の椅子に置いてあるバッグを指すので、持ってくると、中から薬が入ったポーチを取りだす。

 

「薬を飲むなら紅茶はダメだな」冷蔵庫から入れておいたミネラルウォーターを取りだし、コップに入れ「効きそうな薬はあるか?」

「え、栄養剤なら、だ、大丈夫、だ、だと、思う」

「……そうだな」


 薬を飲んで一時間ほどすると、薬が効いてきたのか、ふらつきながらもベッドから降りて、シャワーを浴びるためにお風呂場へ行くので「言えば連れてってやるから、無理に動くな」あとから着替えが入ったバッグを持っていく。



 午前十時前にチェックアウトして例のフロントマンに果物のお礼を言うと、キラをラウンジで待たせて近くのレンタカー屋へ車を借りにいき、ホテルから出ると、途中のガソリンスタンドに寄って予備のガソリンも購入する。


「レンタカー屋で、遠距離を走るなら予備のガソリンを乗せていけと言われたんだ。ガス欠で立ち往生する人からの連絡が多くて、大変だと言ってた」

 四駆の荷台にガソリンタンクを積み込むと、目的の村へ向かって車を走らせる。



 出発して二十分も走ると辺りは原生林の森や川が流れ、民家がだんだん少なくなっていく。

「こう見ると、栄えてるのは港がある場所とか、何か産業に関係がある所だけだな」


 助手席のキラは何も言わずにしばらく外を見ていたが、ラジオから流れてくる音楽が心地いいのか、いつの間にか眠っていた。


 日も傾きかけたころにキラが目を覚ましたので、見晴らしのいい山の中腹に車を停め、途中のスーパーで購入していた調理パンを、景色を見ながら食べる。


「きつくなりそうだったら早めに言えよ」声を掛けると頷くので「無理はするな」


 食後のお茶を飲み、再び車を走らせていくと、途中から、荒れてはいないがアスファルトから土の道路に変わり、目的の村まであと数キロというところまで来たとき、カーナビの調子がおかしくなってきた。

 ノイズが走り、画面がフリーズする回数が増えてくる。


「なんだ? メンテナンスしてないのか?」

 車を道路脇に停め、カーナビの設定等、確認していくと、新しくはないが故障している様子はない。


「まいったな。何が原因なんだ?」電源を入れなおしたりしたが、うまく表示されない。「マジかよ。電波障害になるようなものは見当たらないし、こんな所で立ち往生か?」


 周りを見ると、左奥に広大な深い森が広がり、前方と右側には小高い丘がずっと連なっていて、民家が見当たらない。

 ただ、道路沿いに電線が通っているので、この先に電気を使う何かがあることだけはわかる。


「とりあえず、電線に沿って進んでみるか」

 ショウが車のエンジンを掛けたとき、一羽の山鳥が、窓が開いている助手席側のドアにとまり、ピーヒョロロロロと鳴く。


「エッ? なんだ、ビックリさせるなよ」

「どこに行きたいんだって、聞いてる」キラが代弁する。


 ピーヒョロロロロ、ピー。

「道がわらないんだろうって」


「エッ?」驚いてキラを見ると「あ、ああ。この近くに村があるらしいんだけど、そこに行きたいんだ」

 ピー、ピーヒョロロ、ピーヒョロロ。

「少し遠いよ。案内するから付いてきなって」


 窓枠から飛び立つと、電線が通っている道沿いに飛んでいくので「大丈夫か?」追い駆けるように車を走らせる。


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