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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第五章 謎の組織
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3-2 恐怖の反動

 

「まだ食べるか?」

「……もう、いい」

「そうか。残りはあとで食べよう」果物を自分のバッグに詰め込むと「ご、ごめん、な、な、なさい」


「謝らなくていいと言ってるだろう」涙を拭く。

「で、でも……」

「これからは、どんな些細(ささい)なことでも必ず話してくれ」

「……エッ?」


「お前がこんな思いをしてるなんてわからなかったから、フォローしてやれなかった」

「シ、ショウには、か、かん、関係ない、から、い、いわ、言わなかった、だけ、だけだよ」

「知らなかったから、フォローできなかったんだ」

「気に、し、しなくて、いい」

「なんで」


「い、いわ、言わなかった、わ、私が、悪い。つ、つっけんどん、な、た、たい、態度、取って、ご、ごめん、な、な、なさい」

「謝るなって、何回言えばわかるんだよ」


「こ、こん、今回だって、ショウが、い、いて、いてくれた、から、う、うまく、行ったのに、あ、あんな、あ、あく、悪態(あくたい)ついて、ば、ばかりで、ごめん、な、なさい」

「謝るなって言ってんだろう!」


「……また、お、怒らせ、ちゃった」

「怒ってないよ」

「わ、私って、ダメ、だ、だなあ」

「ダメなんかじゃない。もう何も考えるな」タオルで涙をふき「もう少し寝たほうがいい。傍にいるから心配するな」


 すると首を横に振るので「眠れなくても疲れが取れる」

「お、思い、だ、だし、だしちゃう」

「じゃあ、寝るまで手を(つな)いでてやるよ」ベッドに腰かけ、キラの頭を撫ではじめる。


「手を、つ、繋ぐって……」

「どっちでも同じだろう? ほら、少し寝るんだ」(ほほ)()でると驚いた顔を向ける。


「こ、こ、こんな、こと、と、し、しなく……」

「お前が恐怖と戦ってるとき、何もしてやれなかったから」

「き、きに、きに、し、しなくて、ていい……」

「ごめんな。怖かっただろう?」


「も、も、もう、お、お、わった、か、から……」と言いつつ涙を流すので「まだ、恐怖が取れてないんだろう?」タオルで拭くと「も、も、もう、だ、だ、だ」と言うキラを抱きしめ「本当に悪かった」

「だ、だい、だいじ……」

「もうこんな思いさせないから、 だから、 大丈夫だなんて言うな」

「あ……あ~あ~」

「ごめんな。ごめんな。怖かったよな」声を上げて泣くキラの頭を撫でる。

「今夜も付いててやるから」


 添い寝する形でキラの頭を撫でていると、昨夜と同様にショウのシャツをつかみ、しばらくすると徐々に鼻をすする音が少なくなって、途中からウトウトしはじめると、やがて寝息に変わっていった。

 キラが寝たことを確認すると、こぼれ落ちている涙をタオルで拭き、そっと頬にキスをする。


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