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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第五章 謎の組織
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2-2 不機嫌な理由

 

 キラは相変わらずベッドの上で(ひざ)を抱えてうずくまり、異常なほど震えている。

「本当に、どうしたんだよ」ベッドに腰掛けると、再度理由を聞く。


 ベッドで寝た形跡がないので、怖い夢を見たためとは考えられず、高熱が出ているわけでも寒くて震えているわけでもないが、確実に、何かの原因で異常な状況になっていることだけはわかる。


「とにかく、横になれ」寝かせようとすると「ヤダッ!」手を払いのける。

「何がイヤなんだよ。横になれば少しは楽になるだろう?」

「ヤダッ!」


「どうしたんだよ。どこか痛いのか?」

「な、なんでも、な、な、ない」

「何でもないわけないだろう。どうしたんだよ」

「な、な、なんでも、な、ない」


「……何があったんだ?」

「だ、だ、だいじょう、ぶ、ぶ、だ、だから……」

「……あの屋敷で何があったんだ?」

「だ、だ、だいじょう、ぶ、ぶ、だ、だから……あ、あした、たに、な、なれ、ば、ば、な、なお、なおる、か、から」

「いつもこんな症状が出るのか?」

「い、いつ、いつも、は、つ、つぎのひ、ひには、お、おさ、おさまる、の、のに……」

「なんだって?」


「あ、あ、あした、たに、な、なれ、なれば、お、お、おさ、おさま、おさまる、か、か、から」

(今まで、こんな状態を見たことないぞ)

「俺と会う前に起きてたのか?」

「だ、だ、だい、だい、じょう、う、うぶ」


「全然大丈夫じゃないぞ。何が原因なのかわかってるのか?」止まらない涙を拭いていく。

「だ、だい、だいだい、だいじょう、じょう、ぶ、ぶ」

「大丈夫じゃねえよ! どうしたんだよ!」

「ご、ご、ごめ、ごめん、な、な、な、さい」


「謝らなくていい。謝らなくていいから、何があったのか教えてくれ」

「ご、ご、ごめ、ごめん、な、な……」

「ほら、謝らなくていいから」抱き寄せると(エッ? こんなに痩せてたのかよ)肩を掴んでゾッとする。


「だ、だい、だいだい、だいじょう、じょう、ぶ、ぶ」

「何があったんだよ。こんなに痩せて、何を我慢してたんだ?」

(ン? 我慢?)

「何か我慢してたのか?」


「だ、だい、だい、だい、だい、じょう、じょう、ぶ、ぶ」

「何を我慢してたんだ? そういえば、気になってたことを、終わったら話してくれるんだったよな?」

「だ、だい、だいじょ、じょう、う、うぶ」

「キラ! ほら、話してくれるんだろう? 何があったんだ?」

「だ、だい、だい、じ、じ」


「ラル!」

「アッ! あ…あ…」顔を上げてショウを見るので「どうしたんだ?」

「あ…あ…あ~あ~」今度は声を上げて泣きだした。

「大丈夫。もう何も起きないから」大声をあげて泣くキラを抱きよせ、落ち着くまで涙を拭きながら、背中を(さす)り続ける。


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