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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第五章 謎の組織
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2-1 不機嫌な理由

 

 翌朝の午前七時半、ショウがキラの部屋のドアをノックする。


「キラ、出発の時間だぞ。用意はできてるか?」声を掛けるが返事がない。

「キラ? 起きてるか?」携帯に電話すると中から着信音が聞こえるので、しばらく鳴らしていたが、一向に出る気配がない。


「疲れすぎて着信音に気付かないのか? そういえば、ケッドマンの屋敷にいたとき、様子がおかしかったな」


 ショウはどうしようか考えると、ドアノブを回して鍵が掛かっていることを確認し、一階のフロントへ行くと、時間になっても起きてこないという理由で、キラの部屋の鍵を開けてくれるように頼んだ。

 すると、チェックインしたとき、一緒にいたのを確認しているフロントマンだったので、すぐに対応してくれた。


「ありがとう。チェックアウトが少し遅くなるけど、時間は大丈夫かな?」

「はい。午前十時までにチェックアウトしていただければ大丈夫です」

「そうか。わかった」

 フロントマンを見送るとドアを開け「キラ? いるんだろう?」声を掛けて中に入る。


 荷物はベッド脇に置いてあるが、そのベッドにキラの姿はなく、しかも使った形跡がない。

 そして、ベッド脇のサイドテーブルに携帯が置いてあった。


「あいつ、どこにいるんだ?」

 念のため、ベッド下や入り口ドア横のクローゼットの中を確認するが姿がないため「あとはトイレか風呂場くらいしかないが……もしかして、トイレで座ったまま寝てるのか?」


 缶ビール一本あけただけで酔っぱらうとは思えないが、体調が優れないようだったこともあるので、半信半疑はあるが、クローゼットの向かいにある洗面所のドアを開けると、バスタブに寄り掛かってうずくまるキラを見付けた。


「キラ! お前こんな所で寝てたのか?」隣にしゃがんで「どうした?」よく見ると彼女の腕が震えているので「なんだ、寒いのか? 起きてるんだろう? ほら、顔を上げろ」両腕を持ち上げると、異常と思えるくらい震えている上に、いつから泣いているのか、顔が涙でびしょ濡れになっている。


「どうした? 何があった?」理由を聞くが、震えて歯がカチカチ音を立てているため、話ができる状態でないことに気づき、とりあえず抱き上げてベッドに運ぶ。


「何があったんだ?」備えつけのタオルを持ってくると涙をふき「寒いのか?」着ている上着を脱いで掛けるが、一向に震えが収まる気配がない。


「どうしたんだよ」止まらない涙を拭き続ける。

(とりあえず、今日出発するのは無理だな。もう一泊できるか確認するか)


 ショウは備えつけの受話器をとり、フロントに掛けてもう一泊できるか確認すると、連泊が可能とのことなので、キラの部屋だけもう一泊する手続きを取った。


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