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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第一章 保護活動
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9 狩り人

 

 衝撃的(しょうげきてき)なテレビ中継後、まもなくして例の鏡が博物館から全部消えてしまったあと、盗んだ犯人が私利私欲に()りかたまった権力者に鏡を売り(さば)いたため、狩りはまるで価値の高い稀少品(きしょうひん)を、先を争って集めるかのような勢いだった。


 鏡を手にした権力者は、シルバーフェニックス族の美しい容姿に目をつけ、コレクションし始めたのである。


 本来の姿に戻った彼らは鏡を所有する人物の屋敷に幽閉されていき、いつしか彼らをより多く所有する者が上流階級の(あかし)とされるようになり、なお一層、争奪戦が激しくなっていった。


 そして、彼らを見つけだすハンターという職ができたのもこの頃で、いつしか彼らを()(びと)と呼ぶようになり、腕のいい狩り人を(やと)うことも、ステータスのために重要となっていく。



 パーティ当日の午後五時半。

 街中を通るメイン通り沿いのカフェに、ショウの姿があった。


「アイツ、何してんだ? 約束の時間は五時十五分だぞ」


 遅れること二十分、キラが入ってきた。

 手を()げるショウに気付き、慌てて()け寄ってくる。


「ごめんなさい。イヤリングの片方を無くしちゃって、探してたら遅れちゃった」

「他のにすりゃあいいだろう」

「これじゃないとダメなのよ」


 そのイヤリングは、エレナとアンジュを助けだしたときに付けていたもの。ショウも見覚えがあった。


 向かいに座って息を整えるので「何か頼めよ」声を掛けると「でも、時間がないわ」腕時計を見る。

「少しくらい遅れたって大丈夫だよ」

「そう? じゃあ、何か冷たいものがいいわ」


 手を()げると、ウエイターがメニューを持ってくる。


「グレープフルーツジュースを氷抜きでお願い」

「かしこまりました」


 一礼して下がっていくと「アーッ、暑い!」額の汗をハンカチで拭う。


「それにしても、今日は地味な服装してるな。オマケに眼鏡まで掛けて」

「目立ったら動きづらいでしょう? 眼鏡は変装用。で、何か新しいことがわかった?」


「ああ。今まで金銭のやり取りをした証拠データを見付けた」

「やったわね! でも、これで、(うわさ)は事実だってことがわかったのよね」


「彼らを助けるつもりが、逆のことをしてたなんてな」

「私もショックよ。でも、これからは違うわ」


「もちろん」

「私のほうも、有力な情報を手に入れたわ」


「どんな事だ?」

「裏取引先から、関与してるPFS幹部の名前を聞いたことがあるという人がいたのよ」


「本当か? で、誰だったんだ?」

「……情報部の、部長」


「なんだって!」

「シッ、声が大きい」

「悪い……」口を押さえて周りを見ると「本当なのか?」


「なに驚いてるのよ。情報部の人間が(から)んでなければ、連れ去られた彼らのリストが手に入るわけないでしょう?」

「……確かにそうだな」


「上司が加担してたんだからショックを受けるのはわかるけど、身内だからと言って、見過ごすことはできないわ」

「当然だ」


 そこへ注文したジュースが来たので一気に飲み干すと「さあ、敵陣へ乗り込むわよ」席を立つ。


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