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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第四章 無法大陸
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31 新たな任務

 

 そして、すべての計画が動く実行の当日。

 ショウがいつもの時間にキラの部屋のドアをノックすると、目の下にクマを作り、疲労の色が見えるキラが顔を出した。


「お前、また寝なかったのか!」

「……ちょっと寝たよ」

「そんな顔して、信じられるか」

「……大丈夫だよ」

「……今夜動くんだぞ。今日のトレーニングはミランドと代わって、お前は少し仮眠を取れ」


「そんな時間……」

「言うことを聞け!」

「……」

「わかったな」

「……」

「返事は?」

「……わかった」

「じゃあ、目薬を点けてこい」

 キラが目薬を点けて戻ってくると、一階の狩り人用の食堂へ向かう。


 その食堂にはすでに全員が揃っていて、最後に来たキラたちを見て「お前らいつも一緒だな」ワリッキーがニヤニヤしながら聞いてくる。


「当たり前だろう。行方不明の幼馴染の弟なんだから、俺にとっても弟みたいなもんだ」意外なことを言われて不機嫌そうにショウが答えると「なんだ、そうなのか」何を想像していたのかわからないが、当てが外れたようで、クラッカーとパフィオにお金を払っている。


「何の賭けだ?」ショウが不満そうに聞くと「なんでもねえよ」不機嫌なワリッキーがぶっきらぼうに答える。


「変な想像するから損するんだよ」キラが憎まれ口をたたくので「お前なあ、先輩に向かって口の利きかを知らねえのかよ!」眉間にしわを寄せて声を荒げるので「こいつの口車に乗らないほうがいいぞ」ショウが注意する。「痛い目を見るからな」


「ほう、合わせてみろよ」立ち上がり、ボキボキと指を鳴らすと「やめろ。こいつらが来たときのことを忘れたのか?」相変わらず本を読んでいるクラッカーが静かに注意する。「お前の額のど真ん中に、ナイフがつき刺さるかもしれないぞ」


「エッ!」驚いて額を隠し「チェッ!」静かに座ると「いつか痛い目に遭わせてやるからな」睨みつけるが、キラは他人事のようにソッポを向いている。


 そこへダッケンが入ってきて「急で申し訳ないが、今夜のお披露目パーティのボディーガードをやることになった」と話しはじめた。


 何といっても、幽閉している彼らを特別室から出すので、当然、護衛が必要になる。


「ヘヘッ、いくらでも護衛するぜ」口元が(ゆる)むワリッキーに「お前はパーティ会場の見張りだ」

「なんだって!」

「彼らの護衛は、俺、クラッカー、ショウとビーだ」

「俺はパーティ会場で、パフィオはどこなんだよ」

「お前と同じ、パーティ会場の監視だ」


「なんで俺とワリッキーがパーティ会場なんだよ!」パフィオが立ち上がって抗議すると「俺が決めたことに文句あるのか?」ダッケンがいつもより低い声を出すので「あ……いや、そういう訳じゃねえけど……」

「ワリッキーも、文句あるなら聞くぞ」

「いや……わかったよ」


「全員の服は用意してあるから、あとで部屋に届けさせる。打ち合わせは、午後六時から隣の休憩室で行う。パーティの開始時間は午後七時。会場は一階のダイニングルーム。食後、午後八時から隣のメインホールでお披露目が行われる予定だ。以上」



 朝食はいつものビュッフェ形式で、食欲がないと言うキラのトレーに温サラダとパンを無理矢理乗せ、隣で監視しながら食べさせると、休憩室へ行って紅茶を持たせ、先に部屋へ戻す。


 キラを見送るとダッケンが来て「相棒は大丈夫か?」

「ああ。いつもあんな調子だから、心配ない」

「……そうか」と言って隣に座り、黙り込むので「内緒話か?」前を向いたまま小声で聞くと、ダッケンは少し顔を(かたむ)け「なぜそう思う」

「いつものあんたらしくないからだ」

「……そうか」フフッと笑うと「アイツらが部屋に戻った後、話があるから残っててくれ」

「……わかった」


 クラッカーたちはそれぞれいつもの飲み物を飲むと、部屋へ戻っていく。


 ダッケンは立ち上がって食堂の隠し扉から出ると、ワリッキーたちが廊下から消えるのを確認し、戻ってくると「実は、今夜のお披露目パーティで、内密でやってほしいことがある」

「俺だけなのか?」

「そうだ。だから、他言無用だ。相棒にもな」

「……わかった。で、俺は何をやればいいんだ?」


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