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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第四章 無法大陸
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30-1 進行具合の確認

 

 午後十一時。

 キラの部屋に、ショウとミランドが顔を揃えていた。

 今回は先に部屋へ戻っていたキラがお茶を用意し、ショウたちが戻ってきて向かいのソファに座ると、それぞれカップを渡す。


「こっちの準備は完了だ。ミランド、どんな感じだったか教えてくれ」

 ショウが熱い紅茶を飲むので(なんであんな熱いものが飲めるんだろう?)向かいキラがショウを凝視(ぎょうし)していると「作戦どおりに、お茶係のメイドと話を付けて交代した」とミランドが話しだす。


「交代したメイドの姿に変装して、定刻に彼らが幽閉されてる特別室に行って、作戦が書いてあるメモと、大地の気を格納したドングリを、ティーセットをテーブルに置いたときに乗せてきた」


「怪しまれなかったか?」

「もちろん」

「そうか」

「大丈夫そうだね。お疲れ様でした」飲みやすくなった紅茶を飲むキラ。


「そうだ。情報を一つ」ミランドが付けたす。「特別室の中に、お披露目パーティ用の彼らの服が、すでに用意されてた」


「そうなんだ。きっと、いつでもお披露目ができるように用意されてるんだね。さて、チーガスたちはどう動くかな?」キラがショウを見ると「もちろん、鏡だけを盗むだろう。彼らには手は出さない」

「なんでそんな事がわかるんだよ」


「奴らは狩り人ではなく、()り人のプロだからだ」

「彼らを盗むためのノウハウを持ってないから、手を出さないということだね?」確認するミランドに「そうだ」頷く。


「そういえば、チーガスたちの計画実行の日がいつかわかった?」キラが確認すると「明晩のお披露目パーティのときだ。お前に鏡の部屋の鍵を持たせて犯人に仕立てあげ、トンズラする予定らしい」

「僕に罪を(なす)り付けようとしてんの!」


「シッ! 誰かに聞こえたらどうするんだ!」小声でショウが注意すると、口を(とが)らせ「……ゴメン。つい……」

「こっちの手配は完了してるから、お前が捕まることはない」

「……わかった」


「奴らは、例の隠し通路から、鏡を箱に詰めて運びだし終えてる」

「じゃあ、あの部屋の鏡は全部偽物なの?」聞くミランドに「いや。奴らが盗むのは直径三十センチ以上の大型の物だけだ。それ以下は効力が小さいから、対象外らしい」

「エッ!そうなの!」キラが驚く。


「なんだ、俺がメールに添付して送ったPFSからの報告書を読んでないのか? グループにも報告が行ってると思うから、確認メールを送れと書いただろう?」

「あ……そ、そうだったね」


「……PFSの研究室が最近になって解明したんだが、プロの狩り人や掏り人が、三十センチ以下の鏡を対象外にしてるのはなぜか、理由を解明するところから研究が始まったんだ」ミランドに説明する。


「そうなんだ。でも、直径三十センチ以上の鏡はたくさんあったけど、短期間で全部入れ替えできたの?」

「ああ。入れ替えは完了してる。この計画は、チーガスが会社に来た半年以上前から進められてたようだ」


「チーガスが来る前に誰か潜り込んでたの?」

「パフィオだよ。奴が先に来てたんだ」

「そうなの? てっきりチーガスが先だと思ってた」


「でも、あの鏡のレプリカを、どうやって作ったんだろう?」考えるミランドに「簡単だ。モニターの映像を盗めばいい」

「アッ、なるほど」


「レプリカができたらパフィオ宛で送り、奴が隙を見て入れ替え、本物の鏡を梱包して配送すれば、時間はかかるが、確実に入れ替えることができる」

「でも、配達人にバレないかな?」

「配達人も仲間だったらバレないだろう?」

「確かに!」


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