表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第一章 保護活動
15/713

8 加入の動機

 

「なぜPFSに入ったの?」

「エッ? なんでだって構わないだろう?」


「それはそうだけど、言えないような理由なの?」

「……ダチの、(かたき)を討つためだよ」


「友達の? 狩りにでも巻き込まれたの?」

「……親友だったダチの家族が、シルバーフェニックスだったんだ」

「エッ!」大声を出して慌てて口を押さえる。


 隣の客が、あまりの(うるさ)さに郷を煮やして席を立つので、二人で頭を下げると、気持ちを落ち着かせるためにゆっくり紅茶を飲む。


 飲み終えて一息つき「どういう経緯(いきさつ)があったの?」声を掛けるとショウは静かに話しだした。


「ある日、俺たちが住んでた所に()(びと)たちが来て、あぶり出しを始めたんだ。真夜中に突然叩き起こされて、一人ずつ例の鏡の前に立たされた。

 逃げ出す者もいたけど村はすでに包囲されてて、どうにもならない状態だったんだ。

 連中は正体がバレた彼らを輸送車に押し込めて連れ去った。その中にダチと奴の兄貴が含まれてたんで、俺たちはすぐにあとを追った。

 幽閉先を突き止めると近くに留まり、彼らを解放するよう抗議したが、数週間後、幽閉されてた屋敷で、餓死したと……聞かされ……た……」


「……そう、そんな事があったの」


「いい奴だった。話のわかる奴だった。兄貴もいい人で、俺のことを本当にかわいがってくれた。なのにアイツらは、物のように扱って、殺したんだ」まだ話すのが辛いらしく、頭を抱える。


 そして、落ち着くと「キラは、どんな理由で入ったんだ?」

「……あなたと同じよ」


「俺と? じゃあ、お前の友達もシルバーフェニックスだったのか?」

「いいえ。私の場合はちょっと違うわ」紅茶を飲むと話を続ける。


「あの日は友達と飲みに行って、その帰りだった。飲み過ぎちゃって、夜風に当たろうと公園を歩いてるときだったわ。

 突然、奥の茂みから音がするので、痴漢かもしれないと構えてたら、茂みの間からスカートの(すそ)が見えたので恐る恐る(のぞ)いてみると、シルバーフェニックスの女性がうずくまってたの」


「どこかから逃げ出してきたのか?」


「ええ。彼女は十歳くらいの女の子を抱えてたの。他の人に見付ったら大変だと思って、急いで家に連れ帰ったわ。彼女も大分弱ってたけど、女の子のほうが、体力がない分、衰弱が激しくて、手の(ほどこ)しようがなかった。病院に連れていけば助かったのかもしれないけど、そんなことできないし。次の日、一度も意識が戻らずに、亡くなったわ」


「なんてこった」ため息を吐いて再び頭を抱える。

「残った彼女は、体力が回復するまで家に(かくま)ってあげたの。でも、もう少し早く逃げだせたらと、ずいぶん落ち込んでたわ」


「……そうだったのか」

「彼女や、亡くなった女の子の痩せ細った姿を見て、このままじゃいけないと思ったの」


「俺たち、動機は同じなんだな」

「……そう、ね」


「今回の計画、俺も混ぜてくれ」

「……ええ」


 このあと計画の内容を話し、終わると「携帯の番号を教えてくれ」

 番号を教えあうと「俺は、本部に戻って探りを入れる」


「私はメンバーから情報を集めるわ」

「何かあったらメールをくれ。俺も、新しい情報を(つか)んだら連絡する」

「わかった」


 レジで会計を済ませると、店の前で別れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ