22-2 幽閉場所の確認
一周して元の場所に戻ってくると、ワリッキーが「どうたった? 目の保養になったか?」ニヤニヤしながら聞いてくるので「ああ」軽く返事をすると「今夜、眠れなくなってここに忍び込もうなんて、アホな考えは起こすなよ」
「何か、怖い仕掛けでも付いてるのか?」
「犬が放されるんだよ」
「犬? ド―ベルマンみたいな警備犬か?」
「そうだ。侵入者を見付けたら、噛み殺すように訓練されてる」
「それだけじゃないんだろう?」
「もちろん。この廊下には対人感知器が付いてる。許可なく入ったものは、レーザーで焼き殺される」
「じゃあ、どうやって気を紛らわすんだ?」
「酒でも飲むしかねえな」
「なら、貰ってこないといけないな」
「アハハハハッ! 俺が上等な酒をわけてやるよ」
どうやらショウは気に入られたらしい。
「そっちのちっこいのは、あまり興味ねえらしいな」ロンゲ茶髪のパフィオがキラを見る。「女に興味ねえのかもな」
「男の風上にもおけない奴だな」ワリッキー両肩を上げておどける。
(ったく、男じゃなよ)ムッとした顔をするとショウが突っつく。
「さて、そろそろ戻るか」黙っていたダッケンが声を掛けてくるので来た廊下を戻り、ソファ横を通って両開きのドアから出ると真っ直ぐ従業員用の食堂へ戻り、キッチンへ行ってグラスに入ったブランデーをもらうと、自分の部屋に戻った。
少ししてショウが部屋に入ってくると、しかめっ面をしてソファに座っているキラにブランデー入りの紅茶を入れ、カップを渡すと隣に腰掛ける。
「あいつらの言うことにいちいち腹を立てるな。男はあんなものだ」
「ショウだって男じゃないか」と言いつつ飲める熱さか確認すると「俺に突っかかるなよ」
「フン!」
「あれだけの容姿だ。ああ思われても仕方ない」
すると、ガシャン! とキラがカップを目の前のテーブルに置き「仕方ないで済ますな! どれだけ傷付くかわかってるのか!」と怒鳴るので「……迂闊なことを言った。悪かった」
しばらくの間、沈黙が続く。
「ショウも、あの男たちと同じことを思ったんだろう?」
「聞いてどうする」
「……」
「俺も男だからな」
「……」
「これで満足したか?」
「……」
「ここで仲間割れはよそう。今は彼らを助けることだけを考えよう」
「……」
「ちゃんと睡眠は取るんだぞ。失敗は命取りだからな」紅茶を飲みほすと自分の部屋へ戻っていく。




