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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第四章 無法大陸
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19-3 採用試験

 

 五分くらいしてキラが戻ってくると「この奥の部屋にあるからこっちへ来てくれ」ダッケンが、入ってきたドアとは別の部屋の右側の壁にあるドアを開け、中に入ると、控え室のような小部屋になっていた。


 その部屋の手前半分にはロッカーが置かれ、その前に長椅子が置いてあるところから、ここで身支度を整えて狩りへ出向くのだろう。


 ロッカーのない奥の壁にまたドアがあり、ダッケンがポケットから電子キーを取り出してそのドアを開け、電気を点けると、数えきれないくらい様々な大きさのダークルーラが壁一面に飾ってあった。


『これ全部がダークルーラ?』入り口のところで立ち尽くすミランド。

「すごい数だな。どうやって集めたんだ?」ミランドの隣に立って部屋の中を見回すショウに「襲撃したところから持ってきた」二人の間を通って部屋に入るダッケン。


「しかし、保管場所を俺たちに見せていいのか?」

「なんだ、盗もうとでも思ってるのか?」

「あのシルバーフェニックスを捕まえられる鏡なら、自分で狩ってもいいし、売り(さば)いても大金が入る」

「野心は持つな、と言っても、誰だってこれだけの数を見たら、思わないほうがおかしいがな」

「そりゃそうだ」


「しかし、この電子キーがないとこの部屋には入れない」二人に見せ「防犯装置も最高レベルのものが取り付けてあるから、侵入することは不可能だ」

「しかし、内部の者だったらどうする?」

「無理だ。俺と一緒でないと、即、警報が鳴る」


「狩りに出向くために鏡を持って、そのまま消えたらどうなる?」

「鏡には発信器を仕込んであるから、どこへ持っていってもすぐにわかる」

「発信器を取り外すことは?」

「無理だ」


「なぜ?」

「……極秘事項だ」

「俺たちには話せないと?」

「当たり前だろう?」興味のある目で見るので「それは残念」少しおどけると「(よこしま)な考えは持つなよ。もし鏡を無断で持ち出したら、酸素を吸うことができなくなるぞ」

「おお、こわっ」


「だが、成果を上げれば給金は倍になる」

「マジで?」

「もちろんだ」


「俺たち、すごいところで仕事するんだな」隣にいるミランドに声を掛けると『あ、ああ。都会には驚くことが多いな』

「さっきの勢いはどうした?」ダッケンが声のトーンを落として聞くので『武者震(むしゃぶる)い』ニッと笑うと「ハハハッ、そうか!」


「驚くことがたくさんあって、ビックリしどうしだ」と言いつ不敵(ふてき)な笑みを浮かべるショウに『僕たちで大丈夫かな? ちょっと心配になってきたよ』と言いつつミランドも笑顔を返すと「大丈夫という顔じゃないぞ」二人の反応に満足するダッケン。


「早く仕事に出てみたいな」ミランドを見ると『初仕事は慎重にいかないとダメだよ』

「そのとおりだ。さあ出るぞ」



 控え室に戻ると、ミーティング室ではなく別のドアから通路へ出て「次の作戦の決行日は一週間後だ。三日後から作戦内容を説明する。それまでは各自、自主トレして体調を万全にしといてくれ」

「わかった」ショウが答えると「向こうでメイドが待ってる。彼女が部屋まで案内してくれる」


 ダッケンが指さす通路の先に一人のメイドが立っていて、合図を送ると走り寄ってくるので「二人を部屋まで送ってくれ」

「かしこまりました」返事をするとミランドたちのほうを向き「お部屋へご案内いたします」声を掛けて歩きだすので『ちょっと待って。ハンカチをトイレに忘れてきたみたいだ。取りに行ってくる』ミランドがトイレに駆け込むと、少ししてハンカチを持ってキラが戻ってきた。


「ごめん。台の上に置き忘れてた」


 キラたちはメイドに付いてトイレ前を通り、通路の突き当りにあるエレベーターに乗って屋敷の二階へ戻ると、部屋の前の廊下で「お夕食は午後七時からでございます。お時間になりましたらお迎えに参りますので」一礼してメイドが戻っていく。


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