18 ターゲットの屋敷へ
翌日のお昼過ぎに迎えの車がくると後部座席に乗りこみ、執事やメイドさんたちに見送られて会長の屋敷へ向かった。
「すごい森だな」ショウが道路の左側に続く鬱蒼と茂る森を見ると「ここら辺一帯は全部、会長所有の土地でございます」運転手が説明する。
(これだけの自然が残ってるということは、相当数の彼らを幽閉してるという証拠だな)
「手付かずのままにしてるんですね?」キラが聞くと「はい。手を付けず、そのままにしておくようにとの会長のご命令でございます」
その森が終わると、中世の貴族でも住んでいるかのような、壮大な屋敷が姿を現した。
(すげえ。まるで舞踏会に出向くお貴族様たちが出てくる映画に出てきそうな屋敷だな)半分呆れて目の前に見える巨大な門を見る。
その門を通って車が玄関前に着くと、センサーでも付いているのかすぐにメイドが数名出てきて「いらっしゃいませ」口を揃えてお辞儀すると、執事らしき無表情の若い男性が「お部屋へご案内いたします」と、機械が話しているような口調でしゃべり、荷物を持つと玄関へ案内する。
屋敷内に入ると、気付かれないようにどこに何があるのかをチェックし、二階へ上がるとそれぞれの部屋に案内され「ご昼食後、試験会場へご案内いたします」と、例の機械的な言い方をすると、執事たちは階段を下りていった。
ここには部屋どうしを繋ぐ続きドアはないようだ。
キラはバッグから例の機器を取り出すと盗聴器等、仕掛けられていないかチェックをはじめ、そこへドアがノックされたので慌てて機器をしまい「はい」返事をするとショウが入ってきた。
「もう、ビックリさせるなよ!」
「チェック中だったのか?」
「まあね」
「なら話は早い。貸してくれ」
「いいよ」バッグから出して渡すと「使い方はわかるよね?」
「ああ、大丈夫だ」
ショウが部屋に戻るとキラは南側の窓のところへ行き、外を見ると、整えられた庭の奥に広がる森が見える。
ここも周りを手つかずの森が取り囲んでいた。
(最初のターゲットの屋敷に、こんなに早く潜り込むことができたなんてね。しかも、有力な情報も手に入れられて、今のところは順調だな)
そこへ、チェックを終えたショウが機器を返しにきた。
「大丈夫だった?」機器を受け取ると「今のところはな」キャビネットの上にあるティーセットでお茶を入れはじめ「飲むだろう?」
「熱くしないでよ」
「相変わらずの猫舌だな」
「体質だから治らないよ」バッグに機器をしまう。
「午後の試験の後、狩り人のアシストとして雇われてる連中と顔合わせをするだろう。その時、誰がチーガスと組んでるか、それとなく探ろう」
「その前に、どんな連中がいるか、確認しないといけないよ」
「そうだな」ティーカップを持ってきて渡すと「ここに来たとき、奥の部屋からチーガスの声が聞こえてきた。乗り込んできてるということは、作戦を開始したんだ」
「準備が整ったから。それは、僕たちが来たからなんじゃない?」一口飲んで「アチッ!」
「まだ熱いか? 水で薄めると味がなくなるから、冷めるまで待て」
「温くって言ったのに……フー、フー」
「向こうも、俺たちのことをいい隠れ蓑だと思ってるかもな」
「それはあり得るね」




