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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第四章 無法大陸
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17-2 掏り人

 

「お前、どうやって上がってきたんだよ。それに、早すぎるぞ」

縄梯子(なわばしご)を持ってたりして」左肩に掛けているのを見せると「そんなもの、いつも持ち歩いてるのか?」


「まあね」部屋に入るとトランクにしまい「ミランド。パーティの様子を見せてくれる?」

 声を掛けると彼女はドレッサーの前に行き、鏡の端に手を当てると映っているものが(ゆが)んで、それが収まると、この部屋から出ていくセリーナの後ろ姿が映った。


「これは、ミランドが見てる映像だな」

「そう。彼女の目がビデオカメラと同じ役目をしてるんだよ。だから、これを見れば同じ体験をしたことになるんだ」


 階段を降りる場面から早回しになり、パーティ会場である応接室に入ると元のスピードに戻る。

「プレイヤーもないのに早回しできるって? もしかして、巻き戻しもできるとか?」ショウが目を丸くすると『できるよ。戻す?』

「必要なときに頼むから、今はいいよ」あっさりと返事が戻ってくると思っていなかったので、慌てて答える。

『じゃあ、先に進めるよ』と言うミランドの言い方がキラそっくりなので、わかっているが苦笑した。


 ミランドが鏡を見ると中の映像が進んでいき、サルフテッドの隣の壁に掛かっている例の鏡が映る。


「見て大丈夫か?」

「直接見てないから、大丈夫だよ」

「そうか」


「こんな物を堂々と持ち運んでるなんて。ここに来る客を逐一(ちくいち)チェックしてるということは、以前、何かあったんだろうね」

「おそらく、お前の仲間が来て屋敷でも爆破したんじゃないか?」

「ああ、やりそうだね」肯定するので「否定しないのか」苦笑すると「しない」笑顔で答える。


 ショウはため息を吐くと「とにかく、見てのとおり、俺たちは鏡の前で散々話したから、疑われることはないだろう」

「そうだね」


 そして、ショウと話しているチーガスが映る。


「やっぱり来たんだ。あの()(びと)」キラが興味のある顔をする。

「俺たちが会長に気に入られると踏んで、予定を変更して来たらしい。ああ、このシーンのときにカマを掛けたんだ。”毎週水曜日は予定があって、いつも船で出掛けると聞いてたので。今日は行かなくていいのか” って」


「なんて答えた?」

”誰からそんな事を聞いたのかな?” 

「ヘェ。そんな事してないと否定したんじゃなくて、誰から聞いたのかと情報源を確認したんだ」

「そう! アホだよな」

「やっぱりあいつは掏り人だね。きっと仲間が先に潜り込んでるはずだよ。まずは、そっちを見付けるのが先だね」

「そうだな。いい隠れ(みの)がいてくれて助かるよ」


『今回の作戦はできてるの?』ミランドが聞くので「大まかにはね」答えてショウを見ると「目途が付いたらちゃんと説明するよ」と続ける。


 その後、一通り映像を見ると「パーティに出てた人の顔と名前は覚えた。何か飲む?」ミランドに聞くと『いいわ。初めてのことばかりだったから少し疲れちゃった。戻るから、何かあったら呼んで』

「わかった。今日はありがとう。ゆっくり休んで」


 キラがポケットから付属品の手鏡を出すと手をかざし、徐々にミランドの姿がぼやけていくと消えていった。


「一体、どんな絡繰(からく)りがあるんだ?」ショウが信じがたい光景に戸惑うと「魔法みたいだろう?」

「確かにな。その言い方のほうが合ってる」


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