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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第四章 無法大陸
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17-1 掏(す)り人

 

 午後七時から夕食会を兼ねたパーティが応接室で始まった。

 今回は会社役員と管理職の数名が呼ばれ、壁に飾られたダークルーラの前で、サルフテッドが得意そうに話をしている。


 その中に、ペラノイオへ船で来るとき、船内で紹介された専務のチーガスもいたので、ショウが「今日は仕事が早く終わったんですか?」声を掛けると、チーガスは「ああ、君か」得意の笑顔を返し「まだ終わってないんだけど、ちょっと抜けてきたんだよ」


「そうなんですか。毎週水曜日は予定があって、いつも船で出掛けると聞いてたので。今日は行かなくていいんですか?」

「エッ? あ、いや、誰からそんな事を聞いたのかな?」

「会社の方が話してましたよ。今日は行かなくていいのかなって」

「ああ、そうなんだ。きっと誰かと勘違いしてるんだよ。じゃあ」ぎこちない笑顔を作ってほかの人のところへ行く。


 お姉さま方からの裏情報 その三

 専務のチーガスは昨年中途で採用された人物で、半年前くらいから毎週水曜日に極秘で海を渡り、レンタル倉庫へ何かを運び入れているという。

 それは絵画のようで、こっそり運んでいるところから、どこかから盗んできた盗品ではないか、というもの。


 裏世界では、シルバーフェニックスを捕まえる()(びと)のほかに、ダークルーラを盗む()り人と呼ばれる職業が存在する。

 ショウたちは、チーガスがその()り人で、ケッドマン会長の屋敷から、例の鏡を盗もうとしているのではないかと見ている。 


(俺たちが社長を助けたことと兄を捜してるというキラの話を聞いて、会長が興味を持つと()んだんだ。

 そして、狩り人のアシストとして適性があるかを見るために、会長の屋敷へ行くだろうと予測した。

 だから、運搬日なのにわざわざ延期して来たんだろう)

 チーガスを見ていると会長の傍にずっといるので(俺たちと一緒に会長宅へ行って、鏡を盗む下調べでもする気なのか?)


 その後、ショウとミランドは招待客に交じって情報収集に努め、午後十時過ぎにパーティがお開きになると一旦それぞれの部屋へ戻り、ショウはミランドが呼びに来るまで、ソファに座って一息ついていた。


「そういえばアイツ、どこに隠れてるんだ?」立ち上がって窓のところへ行き、月明りで見える前庭を眺めていると、ミランドが呼びにきた。


 部屋に入ると『キラと繋がってます』ドレッサーの鏡に、林の中にいるキラが映っているので「どこにいるんだ?」

“見ればわかるだろう?” 後ろを指すと、鬱蒼(うっそう)と木が(おお)い茂っている。

「そんなところあったか?」

“前庭の先にある林の奥だよ”


「フウン。見付からないか?」

“心配ないよ” と言うキラの横から二人のフロス アクアエが顔をだし『こんばんは』と声を掛けてくる。

「あれ? 君たちは水から出られるのか?」


『エッ?』

「君たちは水から長く出られないって聞いたから、大丈夫かと思って」

『水のところよ』

「……キラ。お前、どこにいるんだ?」


『まあまあ、どこにいてもいいじゃないですか』声を掛けるミランドが『誰かが来たら大変ですから、話を進めましょう』

“そうだね。例の鏡はどうするって?”

「明日、会長と一緒に屋敷に持って帰るそうだ。今はもう梱包されて、特別室に保管されてる」

“じゃあ、屋敷に着くまで、鏡を見ることはないね?”

「俺たちは白と判定されたんだ。大丈夫だろう」


“とりあえずそっちに戻る。パーティでの話を聞かせて”

「大丈夫か? もう少しあとのほうがいいんじゃないか?」

“こんな時間に前庭に来る人はいないよ。じゃ” と言うと鏡が元に戻る。


「ここは二階だぞ。どうやって上がってくるんだよ。そういえば、隠れるために外に出たとき、どうやって降りたんだ?」


 その時、ビューッと風の音がして窓がガタガタッと音を立てると、コンコンと窓ガラスを叩く音がするので『来たわ』ミランドが窓のところへ行き、カーテンを開けるとキラが立っていた。


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